[連載]家づくりは「外まわり」で決まる―外構から考える住まいづくり エクステリアのメンテナンスとコスト

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マイホームデザイナープラスをご覧の皆様、こんにちは。
毎月 1回日本庭女子会「にわとわに」のメンバーが家の外まわりにまつわる情報をお届けしているコラム。
第 11章となる今回は、「エクステリアのメンテナンスとコスト」について、お話させていただきます。

執筆担当は、「春夏秋冬、季節を感じられるお庭を提案します」をコンセプトにエクステリアやガーデンの設計をしている「ひととせ」の渋谷恵美が担当いたします。(プロフィールはこちら

はじめに

エクステリアに限らず「メンテナンス」や「日々の清掃」と聞くと、少し面倒に感じてしまう方も多いのではないでしょうか。家づくりの計画中は期待が大きい一方で、実際に暮らし始めてから手入れが必要なことばかりだと「そんなの聞いてないよ!」と感じられるケースも少なくありません。

特にエクステリアは、日々雨や風、紫外線にさらされる屋外の空間です。
何もしなければ、ほこりや落ち葉がたまり、雑草が生え、時間とともに汚れや劣化が進んでいきます。

だからこそ大切なのは、お施主様が無理なく続けられるお庭の手入れの範囲を、計画初期の段階で一緒に整理しておくことです。

第11章では、少ない負担でメンテナンスを続けられるよう、土地選びやプランニングの時点でしっかり話し合い、それを踏まえて選択してもらうことで、将来のメンテナンスに対するストレスを軽減できるのではないか!という視点でお話ししていきます。

駐車場は「汚れるもの」と考えて計画する

駐車スペースのコンクリートは、タイヤ痕を気にされるお施主様が多くいます。
特にハンドルを切りながら車を動かす場所には黒いタイヤ痕がつきやすいため、最初から目立ちにくい素材やデザインを選ぶことで、日々の掃除や見た目のストレスを軽減できます。

また多くの方が希望されるカーポートは初期費用こそかかりますが、雨や霜、紫外線、鳥のふん、落ち葉、近年では雹などから大切な愛車を守ってくれる心強い存在です。一方で、カーポート自体も屋外で雨風にさらされるため定期的なメンテナンスが必要です。屋根部分の汚れを落とすことで、屋根材の劣化を防ぎ美しさと耐久性を維持しやすくなります。

さらに、雨どいの詰まりの原因の多くは落ち葉です。
放置すると排水不良を招くことがあるため、定期的な清掃をおすすめします。あらかじめ落ち葉よけネットを設置しておけば掃除の手間を減らすことも可能です。

そして意外と見落とされがちなのが、雨どいから水が落ちる場所です。
この部分を砂利敷きにしておくと、水はねやコケの発生を抑えやすくなり駐車場をきれいに保ちやすくなります。

このように駐車スペースのメンテナンスの負担を軽くする工夫の多くは、初期費用が少し高くなる傾向があります。しかしその分、将来の掃除の手間やストレスを減らし、快適な暮らしに繋がっていきます。
打ち合わせでは、完成後の手間まで含めて考え、話し合い、「限られた予算の中で何を優先するか」を選択出来ることが大切ですね。

日々のメンテナンスを減らすための初期投資と、未来の修繕費を減らすための日々のメンテナンス。
その両方を考えることが、後悔しない駐車スペースづくりにつながります。

天然木 or 人工木 暮らし方で選ぶという考え方

天然木は時間をかけて手入れを楽しみたい方におすすめの素材です。
木の香りが心地よく材料に厚みがあるため重厚感があり、デッキに寝転んでぬくもりを感じたり、深呼吸をするとふわっと広がる木の香りに癒やされます。また加工の自由度が高くオリジナルの棚やベンチなどを造作しやすいことも魅力です。

一方で天然木は時間の経過とともに色あせ、1年ほどで風合いが変化していきます。
その美しさを保つには定期的な塗り直しが必要で、この変化を「忙しくて手入れができずストレス」と感じる人もいれば「味わいが増してきた」「今年はどんな色に塗り替えよう」と経年変化そのものを楽しむ人もいます。年数が経つと傷みや老朽化が進み、修繕や部材の交換が必要になることもありますが、手をかけるほど愛着が深まる素材といえます。

対して人工木は、忙しくてメンテナンスに時間をかけられないけれどウッドデッキや目隠しフェンスは欲しいという方に向いています。

天然木に比べると材料の厚みはあまりなく、ずっしりとした重厚感は少ないですが、近年はメーカーの技術向上により質感やデザイン性に優れた製品が数多く登場しています。多少の色あせはあるものの、基本的には汚れたときに拭き掃除をする程度で大きなメンテナンスは天然木に比べるとかなり少ないです。

打ち合わせの中で、お施主様から「デッキや目隠しフェンスは欲しいけれど、できるだけメンテナンスはしたくないんです。」というご要望があります。この言葉を聞く機会は年々増えているように感じます。その背景には、共働き世帯の増加で忙しい毎日があるのかもしれません。

休日は庭の塗装や掃除に時間を使うよりも家族とゆっくり過ごしたり趣味を楽しんだりしたい。そんな暮らし方を望む方が多くなっています。だからこそ天然木の風合いに憧れながらも、実際にはメンテナンスの少ない人工木を選ばれるケースも少なくありません。

天然木にも人工木にも、それぞれの良さがあります。

「どちらがお施主様の生活スタイルに合っているか」を一緒に整理して選択することが、メンテナンスに対するストレスの軽減につながります。

最大の落とし穴!サービスヤード

サービスヤードは、コストを抑えるために防草シートと砂利敷きで仕上げるケースが多くあります。
しかし「防草シートを敷いたから雑草は生えない」わけではありません。どんなに丁寧に施工しても、境界ブロックの際や建物際から雑草は顔を出します。さらに風で運ばれてきた種や鳥のふんに混ざった種が根付き、思いがけない場所から草が生えてくることもあります。

この時広すぎるサービスヤードは「あとでやろう」と思っているうちに雑草が増え、広すぎて手が足りず、取り切れない雑草を放置してしまう・・・
【更に雑草は増える⇒到底勝てない雑草の成長との戦いに気力を失う⇒見ないふりをする⇒気づけば手が付けられない状態になる】

そんな負の連鎖に陥ります。

反対に、動線を塞ぐほど狭すぎる建物周りも問題です。給湯器やエアコン室外機もあり、人が入りづらく作業しにくいため草むしりや掃除そのものがストレスになり、結局は足が遠のいて放置してしまいます。

そして先程のような
【更に雑草は増える⇒狭くて何が出てくるか分からない恐怖に気力を失う⇒見ないふりをする⇒気づけば手が付けられない状態になる】

という負の連鎖に陥ります。

気付けば、二度と足を踏み入れたくない雑草だらけの場所となります。メンテナンスで一番面倒と思われている「草むしり」で大切なのは「雑草をゼロにすること」ではなく「手に負えない状態をつくらないこと」です。

実際にエクステリアの打ち合わせで図面を見ると「どうしてこんなに広いスペースを確保したのですか?」とお聞きしたくなるケースがあります。

もちろん将来の使い道があって広くしているのであれば問題ありません。しかし脇役のような存在のサービスヤードでも、草むしりや掃除など管理し続けなければならない場所になります。だからこそ、家を計画する段階で「本当にこの広さが必要なのか」を、お施主様と一緒に話し合ってほしいと思います。

庭はゾーン分けで、きれいを保てる

次にメンテナンスと最も関係の深い庭のお話です。

ゾーン分けした庭は過ごしやすい庭となり、過ごしやすい庭は自然と外へ出る機会が増えます。
外へ出る機会が増えると、雑草や落ち葉、小さな汚れにも気づきやすくなります。「少しだけ草を抜こう」「ここだけ掃こう」という行動が積み重なり、庭はきれいな状態を保ちやすくなります。

庭は、お施主様にとって敷地の大切な一部です。そして、使い方次第ではリビングとつながる「もう一つの部屋」になります。
家づくりでは、間取りについて何度も「ここは寝室」「ここは子ども部屋」「ここは収納」と一つひとつの部屋の役割を丁寧に考えていきますよね。それと同じように庭についても、目的ごとにゾーン分けして提案することが重要で、「どんな時間を楽しみたいのか」をお施主様から丁寧にヒアリングし、その暮らしをイメージしながら計画することが大切です。

ゆったりとくつろぐ「過ごす場所」、子どもやペットが元気に走り回る「遊ぶ場所」、家庭菜園や花を楽しむ「育てる場所」など。さらに、それぞれの場所を気持ちよく行き来できる動線も一緒に計画することでいつもきれいな庭空間となります。

庭を何もしないままだったり、砂利だけ敷いた空間では雑草が生え荒れていきます。

はじめの一歩「過ごす場所」

庭空間の計画、はじめの一歩となるのがリビングと庭をつなぐウッドデッキやタイルテラスです。

多くの方は、「家族でバーベキューをする場所」「椅子を置いてくつろぐ場所」というイメージを持たれるかもしれません。

しかし私たちエクステリアプランナーは、それ以上に
内と外の高低差を解消し、庭へ出やすくするための大切な役割」があると考えています。
家の中から庭へスムーズに出られる動線をつくることが、庭を活用してもらううえで重要です。

リビングとつながるテラスは、家族でバーベキューを楽しむ場所、休日の朝のコーヒーを飲みながらくつろぐ場所、夏の夜お風呂上りに外に出て夜風を感じながらお酒を飲んだりと実用性を兼ね備えるだけでなく、暮らしを豊かにしてくれる特別な空間となります。

会話が生まれる「遊ぶ場所」

この時「遊ぶ場所」として人気なのが芝生です。
しかしこの芝敷きが日々のお手入れとして一番大変な場所となります。
天然芝と人工芝では特徴が大きく異なるため、それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで選ぶことが大切です。

天然芝

天然芝は、比較的コストを抑えて施工でき、やわらかな感触や季節ごとの表情を楽しめる魅力があります。
また、夏場の地表温度の上昇を和らげる効果もあります。

一方で皆さんご存知の通り、お手入れは欠かせません。

成長が盛んな時期には、できれば週に1回程度の芝刈りがおすすめです。「そんなに頻繁に?」と思われるかもしれませんが、実は定期的な芝刈りには、芝が密に育ちやすくなり、雑草が伸びすぎる前に刈り取ることができるという大きなメリットがあります。

さらに密生した芝が地面を覆うことで雑草に日光が届きにくくなり、結果として雑草が増えにくい環境をつくることにもつながります。

人工芝

人工芝は芝刈りの必要がなく、一年を通して美しい緑を保てます。忙しくて庭の手入れに時間をかけられない方には大きな魅力でしょう。ただし初期費用は天然芝より高くなります。

また真夏には表面温度が高くなりやすく素足で歩くのが難しいこともあります。バーベキューや花火など、火を使う場面では十分な注意が必要です。
さらに人工芝は耐用年数がありますので、張り替え費用の計画が必要です。

提案時に天然芝と人工芝で迷われた場合は、それぞれのメリット・デメリットを整理したうえで「遊ぶ場所で何をしたいのか」を考えてもらう。そしてなにより管理しやすい大きさにする、という事が重要ですので「今の生活の中でどれくらいメンテナンスに時間をかけられるのか」をヒアリングし、選択の判断材料にしてもらうことが大切です。

天然芝なら芝刈りや草むしりのメンテナンスの負担を減らせますし、人工芝なら施工費や将来の張り替えのコストを抑える事につながります。

五感も育む「家庭菜園」

家庭菜園もまた庭に出るきっかけをつくってくれます。
お施主様からのご要望で意外と多いのが、この家庭菜園スペースです。

「野菜を育ててみたい」「子どもと一緒に収穫を楽しみたい」
そんな思いから、小さくてもいいので菜園スペースを計画されるお施主様は多いです。

野菜や季節の花を植えることで、水やりやお手入れのために自然と庭へ出る習慣が生まれます。
特に小さなお子様がいるご家庭では、種をまき、水をあげ、収穫して食卓に並べるまでの体験が、好奇心を刺激し食べ物への興味や感謝の気持ちを育むきっかけにもなります。

またそれぞれのスペースをつなぐ動線には、天然石やコンクリート平板などで園路をつくるのがおすすめです。歩きやすく安全になるだけでなく、庭の散策が楽しくなり空間全体に一体感が生まれます。

家庭菜園スペース以外にも、芝生や雑草の管理範囲を減らすために、地盤(GL)と同じ高さで仕上げる平板テラスを提案することがあります。庭とフラットにつながるテラスは、動線が途切れることなくスムーズに行き来できるためとても使いやすい空間になります。

予算の関係で諦めてしまうお施主様も多いですが、こちらの空間を作る事で、芝生や土、砂利の面積が減り、芝刈りや草むしりなどの日々のメンテナンスの負担も軽減できます。

10万円の節約が、10年分の手間になる‼こともあるでしょう(笑)

冒頭でもお話したように、出たくなる庭をつくればきれいな庭は無理なく続いていきます。
「メンテナンスを頑張る庭」ではなく、「自然と手をかけたくなる庭」と思えるだけで気持ちは軽くなり楽しく過ごせるのではないでしょうか。

ここが大事!作る=使う庭にするために

そして、庭は「つくる」だけではもったいない。
お金をかけてつくるなら使える庭にしたい。
誰もが初めはそう思っているはずです。

それでもいつしか見ているだけの庭に陥ってしまう理由が「日かげ」「目隠し」「座る場所」がない事です。

*日差しを避けられる場所があること。
*周囲の視線を気にせず過ごせること。
*腰を下ろしてひと息つける場所があること。

家族がくつろぎ、遊び、育て、季節を感じながら過ごすための大切な生活空間にこの条件がそろうことで、庭は「過ごす場所」へと変わります。いつもきれいな過ごしやすい庭空間にはお客様を招きたくなるかもしれません。家もそうですが、来客があると掃除にも気合が入りますよね!!

そうして、いつもきれいな庭空間が続く良い循環が生まれるのです。

ゴールから考える家づくり

物事はゴールから逆算して考えることで、自分の理想により早く近づけますよね。
いわゆる「逆算の法則」です。

マイホームづくりも同じだと私は思います。
家を建てることをゴールにするのではなく「住み始めてから、どんな暮らしをしたいのか」を想像して貰う。

5年後、10年後、その先の未来に家族がどんな時間を過ごしているのか。
どんな庭で笑い、どんな休日を楽しんでいるのか。
草むしりに追われる日々や庭が雑草だらけで毎日ため息をつく日々は、誰も望んでいないはずです。
敷地選びをしている頃から、リアルな未来を思い描いてもらうことで、建物だけでなくエクステリアを含めた敷地全体の使い方が自然と見えてきます。

ところが実際には外構工事のご相談に来られる頃には、建物に予算をかけた結果エクステリアに十分な予算を残せていないお施主様も少なくありません。そのため、本当はメンテナンスの少ない素材や将来の手間を減らせるプランを希望していても、予算を優先せざるを得ず結果として将来的に手入れが必要になるプランを選ぶことがあります。

もし家づくりの早い段階から建物と外構を一体で考えていれば、予算の配分や優先順位を見直しもっと多くの選択肢を持てたかもしれません。

せっかく大きな覚悟と決断をして手に入れる、お施主様とご家族の「大切な場所」
だからこそ家の中だけでなく庭も含め余すことなく活用し、毎日の暮らしをストレスなく楽しめる計画にしてほしいと思います。

いっぽうで、近年…特にコロナ禍以降では、家づくりの早い段階から外構の打ち合わせに来てくださるお施主様が増えてきたようにも感じます。
建物の営業担当者や現場監督の方と連携を取りながら庭づくりを進めるケースもあります。
予算配分や動線、将来のメンテナンスまで建物・外構を切り離さず両方から考えた結果、無駄をなくすことができた現場もありました。

私たちの役割は、図面を描くだけではないと思っています。
お施主様の家づくりを「他人事」ではなく「自分事」として考え、「もし自分が住むならどうするだろう」という視点で向き合うことだと思っています。

念願のマイホーム。そこにはこの先何年も家族で暮らしていく夢や希望、理想が詰まっています。
お施主様のその想いを家づくりに携わるすべての人へバトンタッチし繋いでいければ、お施主様だけでなくつくり手にとっても満足度の高い家づくりにつながると思います。

住み始めてから何年たっても、『この家にしてよかったね』と家族で笑い合える。
そんな家づくりのお手伝いができたら幸せだなと思います。

筆者紹介

連載『家づくりは“外まわり”で決まる ― 外構から考える住まいづくり』

外構の大切さを理解し、心から安心できる住まいを築いてほしい——そんな思いから始まった「日本庭女子会〜にわとわに〜」のコラム。新築計画に役立つ外構の知識やアイデアを、月1回更新でお届けします。

プロフィール

日本庭女子会〜にわとわに〜

エクステリア・ガーデン業界やそれをとりまく業種に従事する・携わる女性たちが、交流や情報交換を目的とし2017年に活動開始。

「庭や外部空間を美しく快適にすることが、住まいや暮らしを豊かに送るのに不可欠なことであり、ひいては日本の街並や景観・環境を美しく創り保ってゆくのに重要な役割を担っている」
また「住まい手だけでなく造り手・働き手の身になって考え、幅広い知識で美しく機能的な空間を造っているプロフェッショナルな女性たちがいることを知ってほしい」

そんな熱き想いを持った庭女子たちが、所属や経験・年齢を超え様々な切り口の委員会を組織し、日本各地で活動・躍動中。現在メンバー150人超。

https://niwatowani.jp/

執筆者

渋谷恵美(しぶやめぐみ)

EXTERIOR&GARDENプランナー ひととせ
子育てがひと段落したことをきっかけに、未経験からエクステリアの世界へ飛び込み、E&Gアカデミーで基礎を学びました。卒業後は埼玉県熊谷市の外構会社に入社し、営業設計から現場管理まで幅広く経験。先輩方のご指導のもと実績を積み、各メーカー主催のコンテストでも入賞を経験。

2024年に独立し、「ひととせ」として活動しています。

子育てや家事、日本ならではの季節の行事等、家族で過ごす時間、そしてこれまでの人生で経験した喜びや失敗。その一つひとつがお客様への提案と繋がっています。

図面を描くのではなく、暮らしを描く。
「暮らしのプランナー」となり、お客様の想いを形にするべく日々奮闘中です。

資格・所属
エクステリアプランナー1級
日本庭女子会「にわとわに」プロフェッショナル会員

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