第一章【リビング・ダイニング・キッチン】一級建築士と学ぶ!「提案力が上がる」住宅設計術
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目次
新連載『住宅の「提案力が上がる」住宅設計術』では、住宅のプランニングで押さえておきたいポイントや設計のコツを紹介します。
第一章では、住まいの中心と言える、リビング・ダイニング・キッチンについて取り上げます。プランニングの際に、施主に確認しておきたいポイントやレイアウトパターンをまとめましたのでぜひご一読ください。
1.リビング・ダイニング・キッチンはどんな場所か
LDK(リビング・ダイニング・キッチン)は、主にリビングは「くつろぐ場所」として、ダイニングは「食事をする場所」、キッチンは「食事を準備する場所」として使用します。住まいの中心に位置し、一人暮らしの場合を除いて、家族が集う場所としての役割を担います。リビングでは家族とくつろぎ、ダイニングでは家族と食卓を囲み、キッチンでは家族のために食事を作ったり、家族と食事を調理したりします。そして、家族のコミュニケーションを育む場所としても重要な役割を果たします。
一方、キッチンは家事動線の中心となる場所であることも忘れてはいけないポイントです。洗濯や掃除、ゴミ出しなど様々な家事をする際に移動しやすいよう、他のスペースとの導線を検討するとよいでしょう。
2.リビング・ダイニング・キッチンのレイアウトを検討しよう
図面や不動産の間取り図では、「LDK」「DK」という表現がしばしば使われるように、3つの空間は、隣り合わせに配置することが一般的で、空間同士に仕切りがなく一体化しているケースも多く見られます。
境界が曖昧になることで、状況に応じて空間を広く使用したり、仕切って使ったりすることができます。
リビング・ダイニング・キッチンでの過ごし方は様々
例えば、来客があった場合には、ダイニングとリビング、あるいはダイニングとキッチンを一体空間として使い、友人を招いてホームパーティーを開くこともできます。あるいは、キッチンからダイニングまで広く使って、家族で料理を楽しむことも可能です。
特にダイニングは、食事の時間以外にも活用できます。くつろいだり会話を楽しんだりするなどリビングのように使用できます。子どもが小さい場合には、料理をしている間、ダイニングで宿題やお絵描きをしてもらうといった使い方も考えられます。
一方で、視覚的・聴覚的に空間を分けたい場合もあります。キッチンやダイニングが散らかっている時や片付けが苦手な人の場合には、リビングとダイニングに可動式の仕切りがあれば、落ち着いて過ごしやすくなるでしょう。また、リビングでは静かにくつろぎたい場合には、キッチンやダイニングからの音をある程度遮ることができ、可動式間仕切りは有効です。
続いて、各部屋から見える外の景色について検討してみましょう。間取りや窓の位置を計画することで、リビングやダイニングから庭が見えるようにしたり、遠方に見える山や空などを借景として取り込むことができます。
3.リビング・ダイニング・キッチンのレイアウト3つの型
リビング・ダイニング・キッチンの3つの空間は並べて配置することが一般的ですが、その配置によって使い勝手や空間の印象を変えることができます。ここからは、どのように並べる方法があるか見ていきましょう。
①I型|リビング・ダイニング・キッチンを一直線に配置
キッチン、ダイニング、リビングという順に一直線に並べる方法です。全体を見渡しやすく、一体型の空間として使うなど汎用性も高いため、設計でも頻繁に採用されています。一方で、キッチンとリビングの距離が離れてしまうため、互いの声が届きにくかったり、リビングからの自然光をキッチンまで取り込みにくくなったりなどのデメリットもあります。
②L字型|リビング・ダイニング・キッチンをL字につなげるレイアウト
ダイニングを中心として、キッチンとリビングをL字型に配置する方法です。
キッチンとリビングの距離が近くなるため、家事をしている人とリビングでくつろいでいる人のコミュニケーションを取りやすくします。互いの気配を感じるため、大人がキッチンで家事をしている間も、子どもがリビングで安心して過ごすことも可能です。
また、ダイニングとリビングで囲む位置に庭を設ければ、ダイニングやリビングはもちろん、キッチンからも庭の景色を楽しむことができます。また、庭を介して自然光を取り込みやすくなり、室内の奥まで光を届けやすくなるでしょう。
③斜め型|ダイニング・キッチンとリビングを斜めにつなげるレイアウト
キッチン・ダイニングとリビングの間に距離を取り、リビングを緩やかにつなげながら、独立した空間として使用できる方法です。空間を直線に繋げるよりも斜めに配置することで、視覚効果によって奥行きのある空間に演出することができます。
4.リビング・ダイニング・キッチンのレイアウトを成功させる4ポイント
次に、キッチン・ダイニング・リビング、それぞれの空間で抑えておきたいポイントについて解説します。
①キッチンは誰が使うのか、どう使いたいかを押さえる
冒頭にお伝えしたとおり、キッチンは主に食事を準備する場所です。計画をする際には誰がメインで使うのか確認しましょう。ファミリー層だからといって、主婦が使うと決めつけるのではなく、様々なケースを想定することが大切です。
例えば、男性が料理が好きで、主にキッチンにたつ場合もあります。夫婦で料理をする、親子で料理をする、あるいはそれぞれ好きなタイミングでキッチンを利用するなど、様々な使い方が考えられます。
誰がどのように使うかによって、使いやすいキッチンの形は変わります。
調理器具や家電などの種類や大きさ、配置についてもあらかじめ確認しましょう。日常生活では、キッチンを朝や夜など忙しい時間帯に使用することも多いため、効率的に動けることも重要なポイントのひとつです。
家事をする人を孤独にしない工夫も大切です。
家事をしている間も、家族の存在を感じられるような配置を心がけましょう。納まりがよいからといって、常に家族に背を向けて家事をするような配置にしたり、空間を完全に区切ってしまう間取りではキッチンが単なる作業場所になりかねません。
また、使う人がある程度固定されていたとしても、配膳や洗い物など家族が手伝えるよう、余白や配置を工夫することが、時に家族の関係を育むことにつながります。効率を重視して一人でしか作業できないようなスペースでは、時には家族間の摩擦やストレスを生む可能性もあることに注意しましょう。
②ダイニングは家族が食事を楽しむ場所。各部屋からの導線もチェック
続いて、ダイニングについて見ていきましょう。ダイニングは家族が食事の時間に集まる場所です。各部屋からの導線がスムーズかどうかも確認しましょう。キッチンから料理を運びやすいか、食後の食器を移動しやすいかといった点も重要です。
また、ダイニングで使うテーブルや椅子が決まっている場合にはそのサイズを、決まっていないようであれば、人数に合わせたテーブルの標準サイズを参考に、どのように配置する予定なのかを検討しましょう。
実際の寸法を入れ込み、食事中の居心地の良さ、外の景色を楽しめる配置となっているかを確認します。外からの視線を気にせず、ゆったりと食事を楽しめるようになっているか、食事を美味しく魅せる照明も検討しておきたいポイントです。
③リビングは、家族が何をしながらくつろぐかがポイント
最後にリビングについて検討します。
家族みんながくつろげる場所とするために、どのように使うのか確認することも大切です。
テレビやスクリーンで映像を楽しんだり、カードゲームなどで遊んだり、あるいは読書や編み物などを楽しむ場合もあるでしょう。置く予定のソファーや棚、テレビのサイズなども確認し、配置を検討します。
また、リビングでは、必ずしもみんなで賑やかに過ごすとは限りません。個室まで行かなくても、家族の気配を感じながら個々がくつろぐスペースとしての役割もあるのです。どのような過ごし方をしたいのか事前にヒアリングしておきましょう。
また、落ち着いて過ごせるようにするためには、窓の大きさや配置も重要です。プライバシーを守りながらも、昼間に適度な彩光を確保し、可能であれば庭や外の景色を楽しめるような計画が理想的です。
④床や天井に高低差をつけ、空間にメリハリを
LDKはつながりのある空間ではあるものの、床や天井を同じ高さに揃えると、のっぺりとした印象を与えがちです。
床や天井に高低差をつけることで、間仕切りがなくても空間を緩やかに分け、メリハリのあるプランにすることができます。光の取り入れ方や各空間からの見え方に変化を生ませることが可能です。
5.4人家族のリビング・ダイニングのレイアウトを3Dで解説
ここまで、LDKの配置や、キッチン・ダイニング・リビングを計画する際のポイントについて解説してきました。
ここからは、実際に一級建築士が計画した4人家族の平屋を3Dで見ながら、「なぜこの配置にしたのか」「どのような暮らしを想定したのか」を詳しく見ていきましょう。
一級建築士が計画した4人家族の平屋プラン
今回は、夫婦と子どもが2人の4人家族の住まいとして、平屋の住宅を計画しました。
建物はなるべく北側に寄せて配置し、道路がある南側に庭や駐車場を確保しています。
東西に長い住宅ですね。設計のポイントはどこですか。
玄関と水回りを中央に配置し、建物東側に個室や寝室をまとめ、西側にLDKをまとめています。
では、この間取りを3Dで見てみましょう!
3Dマイホームデザイナーで立体化した平屋パース。屋根の形状に工夫が見られます。
東西に長いだけでなく、凹凸をつけることで、各部屋に南側からの自然光が行き届くように工夫しました。
とはいえ、夏場に西日が入ると夜間の室内が暑くなってしまいますので、西側は開口部を最小限に抑えています。
▲(左)夏(右)冬の14時の日当たり。夏は西日が室内に入りにくいことが分かります
なるほど!夏の猛暑対策も大切ですね。省エネにも繋がり施主からも喜ばれそうです。
南向きリビングは、道路や隣家からの視線が気になることもあるため、注意が必要です。
現地の状況を十分に確認し、植栽や目隠しフェンス、窓の配置を工夫すれば、明るさとプライバシーを両立できます。
リビングとダイニングを「斜め型」にした理由
リビングとダイニングを斜めに配置していますね。今回はなぜこのレイアウトにしたのでしょうか。
今回は、LDKをひとつの大空間としてまとめるのではなく、それぞれに居場所をつくりながら、家族の気配を感じられるようにしたかったんです。
リビングとダイニング、ダイニングとキッチンが緩やかに繋がるだけでなく、キッチンもリビングも玄関や水回りからほどよい距離となり、利便性の高い配置計画としました。
LDKは、引き戸の建具でそれぞれ仕切られていますね。
昔の日本家屋で見られた田の字型プランのように、引き戸で各部屋を仕切る方法は、用途に応じて引き戸を移動させ、空間を広く使ったり、コンパクトに使用したりすることができます。
家族とのつながりを考えたキッチンレイアウト
キッチンの設計のポイントはどのような点にありますか?
家族とのコミュニケーションを意識して、ダイニング側に調理スペースが来るように配置しました。
キッチンの奥にはパントリーや家事室を設け、ダイニングやリビングから見えるキッチンがすっきりとした印象となるように工夫しています。
LDKは家族が集まる場所として、気持ちよく過ごせるようにいろんな工夫がされているのですね。ありがとうございました!







