[連載]家づくりは「外まわり」で決まる―外構から考える住まいづくり さらに良い家づくりにするために〜庭女子のリアルな体験談〜【後編】

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外まわりの予算はどのように伝えたら良いのか?

ここまでお読みいただいたように、家づくりは建物だけでなく、外まわりまで完成して初めて満足度の高い住まいになります。しかし、建物に予算が偏り、外構を後回しにした結果、思い描いていた暮らしを実現できなかったという声は、アンケートでも数多く寄せられました。 

では、外まわりの予算はどのように考えればよいのでしょうか。 

もちろん正確な金額は現地調査や設計・見積が必要ですが、これまで外構業界では 「建築費用の1割」が一つの目安とされてきました。これも非常に現実的な考え方ではあるのですが、それですと、オープン・クローズのスタイルの差や、地域による車の保有数や仕上げが必要な面積、既存物の有無などによっても必要な費用は大きく変わるため、あくまで参考値です。 

そこで私自身の経験値から、よりお客様が納得しやすい独自の説明方法を見出しました。

それはファサード(道路側の家の「顔」部分)をある程度の状態まで完成させるには、
【お客様が所持している、あるいは停めたい車両の合計金額(購入時)を目安とすればよい】です。

一般的に、外まわりにおいて比較的費用のかかるコンクリートでしっかり固めたい場所=車庫の面積、となりますので、停めたい車の台数によって外構の予算というのは必然的に上がります。
そうすると、車種やグレードによって家に求める高級感とセキュリティーレベルも把握でき、その台数によって自ずと費用をかけたい・かけなければならないかがわかります。
カジュアルな車を所持されている場合でも、やはり最低でもこれくらい(お車と同じくらい)はかかりますよ、との目安にはなると思います。

それが前述の「1割」より根拠が薄いのに、これがなかなかしっくりと合ってきているのです。不思議なものです。そして、その車を停めたいくらいの場所だから同等くらいかかって当然、という考え方に多くのお客様がストンと納得してくださるのです。

ただしこちらもあくまでも目安で、道路とGLの高低差が大きくあるとか、角地など道路に接する部分が非常に長いとか、庭など敷地がかなり広いとか、逆にお車を所持していないイレギュラーな場合もあるかと思います。
また、雨に濡れたくないのでしっかりとカーポート屋根をかけたい、より防犯対策を強化したい、などお客様によっての独自の優先順位がある場合があり、そういった場合は別途お見積が必要となりますので、しっかりとご希望をお聞きして、「すきま」を作らない努力をすることは大前提となります。

ただ、価格感としてのご理解をいただくには充分で、お客様も事前の心構えができる良い指針となるかと思います。ぜひ試してみてください。

私たちが心がけていること・努力しなければならないこと

さてここまで、「私たち外まわり担当の困りごと」のような内容になってしまっておりますが、もちろん私たちにもこうなってしまっている原因があり、それを解消するための努力も欠かせないと思っています。

外構計画の進め方

たとえば、外構計画の進め方。

多くのエクステリアデザイナー・プランナーが「家の間取りを無視して設計を行なってしまっている」ことは由々しき問題だと思っています。
私は、設計する時に建物1階の間取りを軽く描き込んで(ときに家具の配置も決まっている場合がありますのでそこも意識して)室内と外まわりの繋がりを意識したプランを心がけています。
たまに他社との競合になることもありますが、大抵が家の間取りが空白のままで窓や出入口の位置記入もなく、非常に残念だと感じます。専門学校の講師をしている手前、老婆心ながらお小言を言いたいくらいに思う時もあります(笑)

これでは、お客様にも建築側にも説得力がないですし、家を無視している独りよがりのプランと感じられても仕方がないと思っている、という厳しい声もありました。
これも「すきま」をなくすための一歩踏み込んだ検討や提案、お客様との意思の疎通の努力がまだまだ必要と感じます。

工務店さんやハウスメーカーさんとの関係づくり

また、工務店さんやハウスメーカーさんとの関係づくりも大切だと感じます。

私は現在、複数の工務店さんや不動産会社さんと提携関係にあり、案件の相談をいただいたりお客様を紹介していただいており、極力「すきま」のないように努力しています。

会社の大小問わず関係づくりで大事なことは、担当者1人だけだとその良し悪しですべてが終わってしまうので、担当者1人だけでなく複数の担当者、あるいは会社として一緒にお客様づくりが可能な体制を作っていくことが重要、という声もありました。工務店やハウスメーカーの多くが「庭があったほうがいい」という理解は根底にあるとは思いますが、結局値段で止まってしまわないような創客を建築側と一緒にできるようにしたい。
それができるのが私たち〜にわとわに〜なのではないか、という力強いお声もありました。

一番大事なのは日々の現場対応やお客様対応で、そこが肝だと思うという声も多くありました。
造形的・感性的なデザイン要素が多い外構の場合、職人さんとの意思疎通を図るのはなかなか難しく、現地にて立ち合い、指示出し、時には自分で動くことも必要な面が多々あり、そこが大きな課題でもありやり甲斐でもあります。 
またお客様との意思疎通を図るためたくさんお話をする、まめに連絡を取る、現場状況を逐一確認する。当たり前のことかもしれませんが、この当たり前のことを続けることがお客様が喜ばれる成果につながるのではないかと思います。
その成果こそが、建築側の皆さんと協業していくために必要なパスポートとなるでしょう。

あとはなにより、このように思っていること、外まわりを整えることの重要性、そのために日々努力を重ねていることをもっとこちら側から発信を続けていかないと、ということです。
このコラムの機会をいただけたことにより、少しでも皆様に外まわり・外構・庭・エクステリアに理解を示していただき、「すきま」がないように距離を縮めていただければ幸いです。

↑様々な「すきま」を上手く昇華し、心地よい家の外まわりが出来上がった事例、植物が緩衝材の役割を果たすことも多い

もっと関心を持ってほしい外まわりは家づくり成功のカギ

最後に、1年間このコラムを続けてきて、あっという間のひとときでした。

まるっとまとめると
「マイホームの完成度や価値を高めるのは実は外構や庭なんです」
「お庭は決して贅沢なもの=無駄なものではないんですよ」
ということだけをお伝えしたくて書き続けた私たち日本庭女子会〜にわとわに〜です。

それでもなかなかハードルが高い、と思われる方は、どうぞご自身の理想の暮らしを想像してみてください。
子供がビニールプールで遊べる、バーベキューができる、車いじり、収納などで使いたいなど、建築視点からすると「見て・居て心が安らぐ」より「使って楽しい・便利」の方が庭の必要性を想像しやすいかと思います。そんな時、「使って楽しい・便利」を実現しながら「見て・居て心が安らぐ」マルチな空間を提案できるのは私たちです。

またお客様がSNS等で情報収集してきた外まわりを含めた家のイメージを、どのように実現するか頭を悩ませている建築担当者の方もいらっしゃるかもしれません。そんな時、材質や工法、環境に合わせた植物の種類など、具現化するための知恵と手段を持っているのが私たちです。

ぜひ、私たち外まわりのプロを頼ってください。

外まわりを充実させることにより、家の完成度を高め、顧客満足度も高め、資産価値も高め、結果次の集客へとつながっていきます。一緒に、これからもお客様の納得する良い家づくりをしていきましょう。

筆者紹介

連載『家づくりは“外まわり”で決まる ― 外構から考える住まいづくり』

外構の大切さを理解し、心から安心できる住まいを築いてほしい——そんな思いから始まった「日本庭女子会〜にわとわに〜」のコラム。新築計画に役立つ外構の知識やアイデアを、月1回更新でお届けします。

プロフィール

日本庭女子会〜にわとわに〜

エクステリア・ガーデン業界やそれをとりまく業種に従事する・携わる女性たちが、交流や情報交換を目的とし2017年に活動開始。

「庭や外部空間を美しく快適にすることが、住まいや暮らしを豊かに送るのに不可欠なことであり、ひいては日本の街並や景観・環境を美しく創り保ってゆくのに重要な役割を担っている」
また「住まい手だけでなく造り手・働き手の身になって考え、幅広い知識で美しく機能的な空間を造っているプロフェッショナルな女性たちがいることを知ってほしい」

そんな熱き想いを持った庭女子たちが、所属や経験・年齢を超え様々な切り口の委員会を組織し、日本各地で活動・躍動中。現在メンバー150人超。

https://niwatowani.jp/

執筆者

芦川 美香 (あしかわ みか)

横浜市を拠点とするこの道25年超のエクステリア・ガーデンデザイナー。
株式会社アフロとモヒカン代表取締役。

「はじめのいっぽからさいごのちゃくちまで」を社のモットーに、日々お客様宅の外まわりをお客様らしく、美しく暮らしやすく整えるべく、設計・営業・現場に奔走中。

にわとわにプロフェッショナル会員、「美未備びびびっと安心安全委員会」所属、1級エクステリアプランナー、ブロック塀診断士、E&Gアカデミー講師

https://niwatowani.jp/?itemid=120&catid=12

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