[連載]家づくりは「外まわり」で決まる―外構から考える住まいづくり さらに良い家づくりにするために〜庭女子のリアルな体験談〜【前編】
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マイホームデザイナープラスをご覧の皆様、こんにちは。
毎月 1回日本庭女子会「にわとわに」のメンバーが家の外まわり(外構やお庭)にまつわる情報をお届けするコラム。約1年間連載してまいりました本コラムですが、今回はいよいよ最終回となります。
最終回となる12回目は、初回・2回目とお届けしました、株式会社アフロとモヒカン芦川が再び登場しお届けいたします。(プロフィールはこちら)
今までの11回の連載で、外まわりから考える家づくりについて多くの情報をお知らせできたと思います。今回は最終回にふさわしいまとめとして、私たちにわとわにのメンバーである、エクステリア・ガーデンのお仕事に携わる歴戦の庭女子の皆さん(経験年数約10〜35年!)にアンケートをとり、リアルな体験談を集めました。
そのアンケート回答を元に、建物と外構の親和性を「さらに」深めた良い家づくりを成功させるために、押さえておきたいポイントや私たちの想いをお伝えできればと思います。
建物と外構の「すきま」について考える
建物を建てるには相応の専門知識と技術が必要です。一方、外まわりも同様に、 様々な材料や構造・設備についての知識に加え、建築的な視点や、植物という「生き物」を扱うための高い専門性が求められます。
扱う品目が多岐に渡るため、建築と外構はそれぞれの専門性を生かしながら家づくりを進めるのが一般的です。 (中には 、植物含む外まわりまでが守備範囲の建築家さん、建築も設計できる造園家さんなどいらっしゃいますが、多くはそれぞれの専門家が担当しています。 )
しかしそこには微妙な「すきま」が存在しています。その「すきま」を意識したことはありますか?
たとえるならば、外構工事では、隣地境界線にぴったり接して構造物を作らず必ず10〜20mm程度離します。これは基礎の型枠厚さなど物理的な理由もありますが、何らかの影響を受け簡単に越境しないようにとの配慮です。
まさにこのような、越境しないためにお互い1歩引いて取る距離が微妙な「すきま」を生み出し、時としてその責任の所在が有耶無耶になり、結果お客様の予期せぬ負担となってしまう、ということが起きています。
インターネット等で情報の取得が容易になった現在、お客様が外まわりに求められる要求が高まり、イメージが明確化・細分化されればされるほど、その「すきま」が課題として 浮き彫りになってきました。
今回実施したアンケートでも、多くの回答が「建築と外構の連携」に関する内容でした。もちろん、すでに連携に積極的に取り組まれている工務店やハウスメーカーも数多くありますが、まだまだ建物と外まわりの連携には改善の余地があると感じます。
より良い家づくりのためには、建築と外構がこれまで以上に情報を共有し、「すきま」を埋めていくことが大切ではないでしょうか。
外まわりへの理解は顧客満足度を大きく左右する
「すきま」とひとことで言ってもいろいろあります。
物理的・計画的・予算的・会社的・担当者的・契約内容的・作業内容的、等さまざまな「すきま」を如何に埋めるかが、お客様の顧客満足度を大きく左右していきます。
— 予算
例えば、住宅の資金計画では建物を優先して予算が配分されることが多く、外構予算は概算で設定されるケースも少なくありません。 その結果、その予算組みで残った金額で外まわり全てはカバーできず、お客様から「こんなにお金がかかるなんて」「知らなかった」「聞いていなかった」というお声を聞くことが多々あります。
生活のための優先順位がありますので仕方のないことではありますが、外まわりが未完成のまま住み始め、完成まで数年を要すケースも少なくはありません。
だからこそ、 「家」を計画しはじめた時点で、外まわりも暮らしに欠かせない要素として捉え、適切な予算を見込んでおくことが大切です。
— 工事範囲
工事範囲も、「すきま」が生まれやすいポイントの一つです。
私自身も、建物の見積に含まれていない工事が後から判明し、建築側・外構側ともに「この工事は誰が担当し、費用は誰が負担するのか」と対応に苦慮したケースを経験しました。
本来であれば、 建物契約前に「ここからは建物の見積には入っていませんから、外構やさんの方にお願いしてくださいね」と、お客様へ丁寧に説明し、建築と外構の担当者で情報を共有しておくべき内容でした。
お客様の多くは家づくりが初めてです。 建築業では当たり前の役割分担でも、お客様には十分伝わっていないことが少なくありません。
工事範囲の線引きがどこで行われているのか、予算のどこまでを建築側で考えてもらっているかも、家づくりの情報量の多さもあいまって能動的な把握は難しく、こちらが「外まわりは別ですよ」とお話した時初めて「ああそういうものなんですか」となる方もいらっしゃいます。「すきま」の存在を感知できていない施主様ほどコミュニケーションをとり、適切な情報共有をしていきたいところです。
確実に押さえておくべきはお客様の理解で、【「すきま」を埋める = お客様との適切な情報共有】ということになります。
別会社・別契約であっても、お客様への情報共有が十分でないと、認識の違いから大きなトラブルへ発展してしまうことがあります。
— アンケートの中にはこんなケースが。
アンケートでは、 規模の大きめな建築が決まったお客様から建築図面一式を頂き、建築着工前の現地調査・外構設計・見積をし契約まで完了していたにもかかわらず、 途中で設計GL(地盤の高さ)が変更になっており、その情報がお客様にも外構担当にも共有されていなかったという事例が寄せられました。
その結果、フェンスやスロープ、階段の高さが設計どおりに施工できなくなったほか、一部建材も変更されており、外構計画の見直しと追加費用が必要になりました。最終的には、お客様・建築会社・外構会社のすべてに大きな負担が生じてしまったそうです。
前述の通り、【「すきま」を埋める = お客様との適切な情報共有】がされていれば、防げた可能性のあるトラブルだったと言えるでしょう。
ここまで課題となるケースを中心にご紹介してきましたが 、逆にこれらの微妙な「すきま」を上手に昇華し外まわり含めた「良い家」が完成したケースは多く存在すると思います。
建築会社さんと私たち外まわり担当が「すきま」埋めの協力さえできれば、完成時にお客様と家を眺めながら「良い家になったねぇ」としみじみ満足げに頷く。そんな感動のエンディングが待っているはずです。
私もそのような経験をたくさんさせていただきました。
もちろん責任の線引きは大事ですが、お互いの専門性を尊重しながら情報を共有し、「すきま」を埋めていくことで、 シームレスでストレスフリーな家づくりは不可能ではないはずなのです。
筆者紹介
連載『家づくりは“外まわり”で決まる ― 外構から考える住まいづくり』
外構の大切さを理解し、心から安心できる住まいを築いてほしい——そんな思いから始まった「日本庭女子会〜にわとわに〜」のコラム。新築計画に役立つ外構の知識やアイデアを、月1回更新でお届けします。
プロフィール
日本庭女子会〜にわとわに〜
エクステリア・ガーデン業界やそれをとりまく業種に従事する・携わる女性たちが、交流や情報交換を目的とし2017年に活動開始。
「庭や外部空間を美しく快適にすることが、住まいや暮らしを豊かに送るのに不可欠なことであり、ひいては日本の街並や景観・環境を美しく創り保ってゆくのに重要な役割を担っている」
また「住まい手だけでなく造り手・働き手の身になって考え、幅広い知識で美しく機能的な空間を造っているプロフェッショナルな女性たちがいることを知ってほしい」
そんな熱き想いを持った庭女子たちが、所属や経験・年齢を超え様々な切り口の委員会を組織し、日本各地で活動・躍動中。現在メンバー150人超。
https://niwatowani.jp/執筆者
芦川 美香 (あしかわ みか)
横浜市を拠点とするこの道25年超のエクステリア・ガーデンデザイナー。
株式会社アフロとモヒカン代表取締役。
「はじめのいっぽからさいごのちゃくちまで」を社のモットーに、日々お客様宅の外まわりをお客様らしく、美しく暮らしやすく整えるべく、設計・営業・現場に奔走中。
にわとわにプロフェッショナル会員、「美未備びびびっと安心安全委員会」所属、1級エクステリアプランナー、ブロック塀診断士、E&Gアカデミー講師
https://niwatowani.jp/?itemid=120&catid=12







