第四章【基礎伏図・床伏図・天井伏図】一級建築士から学ぶ現場に伝わる図面をはやく描くコツ

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伏図は、建物の構造を表す図面のひとつです。基礎、床組、天井など各パーツを取り上げ、平面図と同じように、水平面を見下ろした状態を表現しています。

平面図や矩計図と比較すると、伏図で描く必要のある情報は限られており、他の図面と比較すると一見シンプルに見えます。本記事では、一級建築士の視点から、描き漏れを防ぎながら現場で必要な情報をはやく描くための基本的な考え方と書き方のコツを解説します。

伏図とは?

伏図(ふせず)とは、建物の構造を把握する構造図のうち、水平方向に切断した面において、柱や梁の配置、寸法、材料を表したものをいいます。平面図も水平方向に切断した図面ですが、仕上げなど意匠的な要素を多く含むのに対し、伏図は構造に特化した図面と言えます。

平面図の基本については、第一章で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

伏図には、基礎伏図、床伏図、天井伏図などがあります。

図面の種類内容
伏図伏図は、一般的に、100分の1または50分の1の縮尺で作成します。
平面図や矩計図と比較すると、伏図で描く必要のある情報は限られており、他の図面と比較すると一見シンプルに見えます。各構造との整合性が取れているかや、関わる工事を把握し図面に表現できているかも重要なポイントになります。
基礎伏図掘り方作業をはじめ、鉄筋の長さや本数の割り出し、配筋位置の確認、型枠設置作業など、基礎工事に関わる作業でもっとも重要な図面となります。
床伏図ボルトの位置や本数、柱や土台の位置関係、土台の継手や火打ち、根太の長さや位置など、材料手配から施工まで使用します。
天井伏図天井の仕上げ材の割り付けや、小屋裏点検口の位置を確認することができます。
※伏図には、そのほかにも屋根伏図や小屋伏図があります。

伏図の描き方

①平面図から柱・耐力壁の位置を落とし込む

伏図においても、他の図面と同じように平面図を基本として図面の作成を進めます。

平面図から通り芯、柱や壁の位置をトレースしましょう。柱や壁のある位置には、基礎や土台、梁を設ける必要があるからです。また、構造検討の結果から耐力壁の位置も記し、耐力壁の効果が十分に発揮できるように構造材を決定していく必要があります。

トレースした情報は、作図中に誤って移動したり削除してしまったりすることのないように、レイヤーを分けたりグループ化して固定しておきます。位置確認のために使用する場合には、作図中はカラーで表示するなどして、作図ミスを防ぐことができます。

②構造の基本ルールに沿って作図を進める

伏図では、構造の基本ルールに沿って作図を進めていきましょう。その後、イレギュラーな箇所については一つひとつ構造検討を進めるようにします。

基礎伏図

まずは、基礎伏図について説明します。

基礎伏図では、基礎の立ち上がりから作図を行います。柱の下には必ず基礎の立ちあがりがあるようにし、立ち上がりのラインが凸凹に配置するのを避けて、できる限り端から端までまっすぐと伸びるように整えていきます。立ち上がりラインで囲まれた区画の短辺が、4.55m以下となっているか確認しましょう。4.55mを超える場合には、間に立ち上がりを追加するなど検討します。

さらに、基礎伏図の場合には、基礎断面図のパターンを確認し記号をつけ、各詳細図を基礎伏図の空いているスペースに記載しましょう。耐圧盤部分や土間部分のレベルも忘れずに記載します。

床伏図

続いて床伏図では、作図を開始する前に水平構面の種類を検討しておきましょう。
1階床伏図(土台伏図)であれば、基礎の立ち上がりの上に土台がのるように配置していきます。柱勝ちなのか土台勝ちなのかも一目で分かるように作図しましょう。

木材であれば、一般的に流通する長さは3〜4m材であることが多いため、4m以上の長さが必要な場合には2本以上の材を継いで使用することを検討していきましょう。その際、構造の弱点を建物に作らないようにするために、継手の位置は耐力壁の位置と重ならないようにしたり、上下階で継手が同じ位置とならないように注意しながら設定します。火打ち土台を区画の四隅に入れ込んでいき、下地や構造用合板が張りやすいように根太を配置します。

小屋伏図

小屋伏図も床伏図と同様に作図していきますが、作図前に小屋の組み方をあらかじめ決めておきます。
屋根形状や小屋の組み方によって、梁せいだけでなく、梁の設置レベルが一本一本異なる場合も少なくありません。材のレベルや梁せいの情報も文字で記載していきます。束が必要な場合には、束の記載も忘れずに行いましょう。

天井伏図

天井伏図では、仕上げ材の種類や張る方向を記載します。網掛けやハッチを使い分けると、図面が見やすくなり有効的です。部屋によって仕上げ材が異なる場合には、仕上げ表から仕上げ材を転記します。材の拾い出しに使用するだけでなく、天井の見栄えにも関わるため、意匠的な意図が明確に伝わるようにしましょう。

③設備計画と照らし合わせる

伏図では、給水・排水など設備の配管や、点検口などとの位置関係も確認します。
確認が不十分な場合には、梁や火打ちが邪魔になり設置できない、基礎に貫通スリーブを想定外の位置に開ける必要が出てしまうといった問題も起こりかねません。着工前に、現場監督や設備担当者と事前に協議し、計画に問題がないかを確認しておくことが大切です。貫通スリーブをあける位置をあらかじめ把握し、スリーブ周りに補強を施すなどの指示も図面に記載します。

基礎伏図では、床下作業が必要な場合を想定し、床下を作業者が通れるルートを確保しましょう。
人通口の幅を明記し、人通口部分の補強計画も分かるように詳細図などで記載します。

伏図の修正を減らす描き方のコツ

どの伏図においても、平面図から柱の位置のトレースを正確に行うことが最も重要です。

伏図を作成するには、建物の構造計画を事前に決めておく必要があります。計画をもとに、構造の基本ルールに沿って作図を行うことが正確に素早く描けるコツだと思います。その後、上下階の構造的な整合性を確認することも忘れずに行いましょう。建物の骨組み模型を頭の中にイメージしながら確認していくとよいでしょう。

そして、設備の配管ルート、メンテナンス時の作業ルートが確保できているかも十分に確認しましょう。

現場で伝わる詳細図にするための表現ルール

例えば、アンカーボルトや基礎の種類など、同じものは表記を揃え、見やすいサイズで記載するようにします。梁せいやレベルなどの記載方法を図面間で統一するようにすると、複数の図面を見ながら作業する場合にも見やすく、現場での見落としを防ぐことができるでしょう。ボルトや継手の位置は、寸法を入れて明確に伝わるようにしましょう。柱の断面や構造材は太線、斜線や注釈は細線にするなど線の太さも使い分けると、メリハリのある図面に仕上がります。

描き終わったらチェックしよう

一通り描き終わったら、改めて平面図、構造図、仕上げ表、設備図との整合性を確認します。記入漏れや現場責任者への確認漏れなどがないかチェックしましょう。他の章でも説明しましたが、図面はPC画面で確認するだけでなく、必ず印刷をして紙面での見やすさも確認することが重要です。見にくい箇所があれば、見やすくするためにグレーの塗りつぶしや網掛けを加えたり、線の太さを調整したりと工夫します。

見やすくするにはどうしたらよいのか、図面の読み手への思いやりを日々積み重ねることが、現場に伝わる図面が作成できるようになるのだと思います。

執筆者

一級建築士・住宅収納スペシャリスト

意匠設計事務所で、新築からリノベーションまで住宅を主軸として、図面作成から施主や現場での打ち合わせ、現場監理まで携わる。
10年以上の実務経験をもとに、現場で役立つ設計・図面作成の考え方を監修。
本連載では、図面を効率よく、正確に描くための基本的な視点を整理している。

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