アクセントクロスや黒の天井はどう使う?失敗しない配色テクと実例をプロが解説

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インテリアにおいて「色をどう使うか」「照明をどう配置するか」は、見た目以上に難しいテーマ。
単に「おしゃれな色」を選ぶだけでなく、「なぜその色か」「どう納得してもらうか」が、提案の成否を左右します。

本記事では、プロのインテリアコーディネーター前田氏が実践している、納得を引き出す配色・照明提案のプロセスと、それを実際に反映したアクセントクロスや黒の使い方などの具体テクニックをあわせてご紹介します。

プロフィール

前田やす子氏

大阪北摂で活動。「インテリアが上質な人生への決め手になる!」
新築/リフォームのインテリア計画、アイテム購入アドバイス、オリジナル家具設計
色彩、心理、デザイン理論を軸にお客様だけのストーリーを組み立て、一目で刺さるビジュアル提案。
意味のある仕掛けで腑に落とし、クライアントの本音を引き出します。

ICA関西(インテリアコーディネーター協会関西)所属

https://ica-kansai.gr.jp/

アクセントクロス・黒を“失敗せず”使うための基本ルール

空間に個性を与えるアクセントクロスや、重厚感を演出できる黒の天井。
けれど、「うまく使えるか不安」「圧迫感が出そう」と感じている方も多いのではないでしょうか。
プロのインテリアコーディネーター前田氏に「失敗しない使い方」の基本ルールをお聞きしました。

色の差は「はっきりと」が基本

アクセントクロスの選び方で最も大切なのは、隣り合う面で「似すぎた色を避けること」
淡いベージュ同士やグレー同士では、仕上がりがぼやけてしまい、アクセントにならないことも。ナチュラルを狙う場合も、“ほんのり違う”ではなく、明確な色味の違いを意識しましょう。

アクセントクロスって選ぶのに勇気がいります

編集部
編集部
前田氏
前田氏

アクセントクロスを選定するときは、よく似た色のクロスを並べると、違いがわかりにくいです。
はっきりと色の違いがわかるクロスの方が、仕上がりは映えますよ。

ナチュラルにしようとしても、ぼやけてしまうことがあるんですね。

編集部
編集部

アクセントは全体の25%以内に|分量ルールで派手さをコントロール

同じ色でも、壁や天井などに使う面積によって色の見え方は大きく変わるのがインテリアの難しいところ。前田氏は、アクセントカラーは空間全体の25%以下に収めるのが基本と話します。
強すぎる色も、“ちょっとだけ”であれば空間のスパイスとして活かせるのです。

前田氏
前田氏

淡い色のクロスを選ぶ場合、大きい面積になるとさらに淡く見えます。
見本を見て、色の違いがあまり感じられないものを選んでナチュラルにしよう、と考えても、色の差が不明瞭になり、アクセントになりづらいです。

アクセントは全体の25%までにすれば、大丈夫かな?派手になるかな?と思う色でも失敗しません。薄すぎず濃すぎず『色味』を感じるものを選んでください。

知らなかったです!勇気をもって挑戦してみたい!

編集部
編集部

同系色/反対色でバランスをとるクロス選び

色を選ぶときは、「既に空間にある色」との関係性も重要です。
色相環で見て「近い色(同系色)」か、「補色(反対色)」のどちらかに振り切ることで、統一感またはコントラストが生まれます

前田氏
前田氏

同じ視界に入る範囲の別の箇所に何かお色があれば、それと同系色にするとか、はたまた反対色にするとか、色合わせのバランスの考慮が必要です。
例えば、彩度(色のにごり具合)は全体のイメージに重要なので揃える。同じ色味を明度違いにするのは比較的簡単なんです。

「なんとなく合いそう」で色を選んではいけないですね

編集部
編集部

【実例紹介】プロが提案した黒の使い方と空間演出の工夫

ここからは、実際に前田氏が担当したプランから、黒を使った天井・床の構成の実例をご紹介します。

前田氏
前田氏

黒のクロスは印象付けするのにすごく効果的ではあるんですけど、分量と位置を間違えるとそれにまみれてしまいます。

その強さを生かした使い方っていうのもあるので、そこってテクニックいるんですよ。

確かに、色が強すぎると圧迫感が出そうです…。
ぜひテクニックを伝授してください!

編集部
編集部

黒い天井×床で引き締めたキッチンプランの意図

提案の中で特に印象的だったのが、キッチンの天井と床を黒でまとめたデザイン
一見大胆に思えますが、実は空間全体で見たときに白や木目とのバランスをとるための構成でした。

前田氏
前田氏

今回は、キッチンの天井・床を黒でまとめちゃったんですよね。

えっ、黒×黒って重くなりませんか?

編集部
編集部
前田氏
前田氏

そう思いますよね。さっき言ってた分量の話と矛盾してるんじゃない?って思われるかもしれません。でも、実はこれ、全体で見るとちゃんとバランスが取れてるんです。

というと?

編集部
編集部
前田氏
前田氏

キッチン以外の空間、特に吹き抜けなんかは、壁も天井も真っ白。
だから空間全体としては“白の分量”が圧倒的に多いんです

さらに、キッチン手前の壁には“明るめの石目グレー”のクロスを入れて、色のグラデーションをつけてるんです。この“グレーの中間色”があることで、白と黒のあいだをやさしくつなぎ、黒が自然に馴染むように設計しています。

なるほど、黒が強すぎるように見えない理由はそこなんですね。

編集部
編集部

前田氏が読み取った施主の好みと提案の工夫点

施主は元々、キッチン設備に優しい木目を選ばれていたものの、ドアはダークブラウンなどやや強めの色味を好んでいました。
前田氏はこの“好みの振れ幅”を読み取り、黒で全体を引き締める方向へ調整しました。

前田氏
前田氏

キッチンには優しい木目の分量が多いので、対比として黒も同じぐらいの分量を挟んでいっても全然いけるなと思いました。キッチンの腰ぐるっと木目ありますから。

ピリッとしたアクセントになるので、黒の持つ色の勢いがイメージ作りに活かせるし、それと同時に同方向へのすっきりした黒のラインが通るので広くも見えますしね。

高級感がでてとてもお洒落なキッチンです!

編集部
編集部
前田氏
前田氏

照明器具は、ドアと同じ“ダークブラウン”のアクセントなんです。
そこに“親しみやすくて優しい光源”を合わせることで、“長居したくなるカフェ風”になるんですよ。

一方で、黒が持つ“求心性”との相乗効果も大きいんです。
「色」はアレンジの仕方次第で本当に自在に変化しますよ。

たしかに、ただ柔らかいだけじゃない。
メリハリが効いた空間ですね!

編集部
編集部

これらのテクニックが、実際にどのように使われたのかを知りたい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

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