[連載]家づくりは「外まわり」で決まる―外構から考える住まいづくり さらに良い家づくりにするために〜庭女子のリアルな体験談〜【中編】
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ここが連動できれば成功と言っても過言ではない5選
では実際、問題にならないために注意すべき重要「すきま」ポイント、ここが連動できていれば外まわりも含めた家づくりは成功!と言っても過言ではないと私たちが考える項目の上位5つをお伝えしたいと思います。
① 既存物の存在と解体
まず初めは、既存物の存在とその解体についてです。
ありがちなのが、古めの住宅地での道路境界線・隣地境界線沿いに存在する塀やフェンス、これを残すか残さないか。規模の大きなものについてはもちろん建物建築前に対応されるとは思いますが、微妙な規模の場合でも、その強度や今後の長期的な耐久性についての検討と対策も必ず建物着工前に行っていただければと考えます。
建物完成後にその虚弱性が発覚し、やりかえ工事となった時の追加費用の発生ももちろんですが、着工前であれば工事がしやすかったのに、完成後にものすごく搬入出が大変になり工事金額が更に増加する、ということも起きえます。
また残したが故に隣家とのトラブルになったり、他者を巻き込む事故が発生する可能性も高まります。塀を含む敷地内の建築物は、所有者に安全管理責任があることをお客様に理解いただくことが大切です。
↑隣地境界に沿った古いブロック塀や万年塀。経年劣化や現行法規に適せず強度的に不安があるもの、越境しているものも多い
② 土地の高低差と造成
次に、隣家や道路との土地の高低差を止めている土留め・擁壁類について。
こちらも建築するために必要な位置・規模の造成は建物着工前に対応されるかとは思いますが、そこに干渉しない類の位置・規模のものを建築・外構どちらが工事するか、という問題です。
これを外構工事として後回しにした場合、お客様にとってまた「聞いてない」案件の発生となる場合あり、擁壁の造作に予算が持っていかれて純粋な外構工事にまわらない、あるいは高低差を法面処理するしかなく、庭として有効なスペースをあまり取れず・・・となり、お客様の当初希望からかけ離れたプランになってしまう、という結果を招きます。
安全対策の費用がかかることは仕方のない話ですが、こちらも家全体の計画の一部として最初から計画に入っていれば、予算取りしておけば、というケースです。
↑建築工事での土留めと外構での土留めが上手く連動し使いやすい玄関・庭になった事例
③ 地中の配管計画と施工
これもあるあるで問題になりがちなのが、地中の配管です。
中でも汚水・雨水の排水管の設置計画については、本コラム内でも何度か触れたことがあるように、外構計画に大きな影響を及ぼします。
上水道と異なり水圧がなく、水を流すためにある程度の勾配が必要となる排水管は、様々な制限があり管を通す場所・深さも点検口(マス)の設置位置も設計図通りにいかないケースも稀に起こります。そんな計画変更を余儀なくされた時に、ぜひ外構の計画が現在どうなっているかの確認を行っていただきたいのです。
私たちは建物建築前の計画については設計図を頼りに設計をします。もちろん完成後の最終現地確認は行いますが、そこで「ギョッ!」と脂汗をかくような状況に現場がなっている、という経験を私も最近しました。
起こる問題の可能性としては、以下が考えられます。
- 外構の一番目立つところに点検口類が集中する(デザインに影響)
- 物理的にシンボルツリーが植えられない
- 地中に基礎を要する構造物が建てられない(門塀・門扉・カーポートなど)
- 地上に設置したいものが置けない(ウッドデッキ・物置など)など
↑目立つところに集中した点検口類を外構でなんとか処理する様子
本当に致し方ない場合は外構の設計変更をせざるを得ませんが、これも無報告・事後発覚になってしまうとお客様にとっては重大な「すきま」案件です。起こった時点で真摯に相談・対策することで理解を得られるでしょう。
④ 電気設備計画と施工
次に配慮いただけるととてもありがたい、電気設備についてです。
屋外の照明計画についても、私たちは建物の設計図を頼りに計画します。玄関灯や犬走りの防犯灯、庭のスポットライトなど、建物の外壁に設置される照明の状況を考えて、外構で設置する照明の量・位置・操作方法を考えます。
門灯に使用できる配線は、玄関内の壁面スイッチで入切操作できる場合が多いのですが、今時は防犯対策でタイマーや明暗センサー・人感センサーなどを経由させて動作させることがほとんどですし、LEDで消費電力も気にせず済むので、玄関内の壁面スイッチは入れっぱなしにしてください、とお客様にお願いしています。
逆にお庭側は、たとえばウッドデッキがあり芝生があり庭木があるようなある程度の規模のお庭の場合、やはり夜間の利便性・安全性や演出のために、建物側だけでなく外周にある程度の照明が必要となります。
ですが室内の壁面スイッチで入切操作できる配線がお庭側に出ていることはほとんどないため、お庭の照明は屋外用防水コンセントからタイマー・センサーで入切操作するか、スイッチを屋外に設置することになります。
最近は防犯上お庭側の掃き出し窓にシャッターをつけているお宅も増えたため、夜間特にお庭に用がない時は、陽が暮れたらシャッターを閉めるお宅が多いのではないかと思います。
そうなると、毎日自動でオンオフしてもらいたい玄関側の照明と、必要な時に手動でオンオフしたいお庭側の照明、室内の壁面スイッチがあってほしいのはどちらかな?ということになります。
これも時代とともに商品や暮らしや社会が変化してきたということかと思うので、柔軟に対応していきたいものです。
↑玄関まわりのあかりは自動点灯が便利。最近は12Vが主流で、変圧器とセンサータイマーが一体となっている
⑤ 玄関ポーチのステップ
最後に、一番わかりやすい「すきま」の存在。それは玄関ポーチの「ステップ」です。
玄関ポーチは、各工務店さんやハウスメーカーさんによってその規定値は異なるかもしれませんが、特殊な設計でない場合、おおよそGLからH385前後に設定されていると思います。そして、だいたいGLに降りるために1段ステップをつけていただいていると思います。
実は、私たち外構の設計者は、お客様の敷地がはじまる道路境界線から玄関ポーチ上がり切りまでを、人がスムーズに安全に出入・昇降できるように、あるいは雨等がきちんと水捌けするように、路面や段差の高さ関係や勾配を細かく計算検討しています。すると、何が起こるかというと、先に作られている玄関ポーチのステップだけが、その計算値から外れてしまってやや高い・低いということが頻繁に起こります。
道路からGLまで高低差がある場合、玄関が外構アプローチの階段部から離れているとさほど気にはなりませんが、これがアプローチ階段から一気に玄関ポーチに上がりきる設計が必要な状況だとすると、最後の1段だけが不揃いとなってしまいます。あるいは道路からGLまで高低差がなくても、アプローチや車庫の勾配を適切に取っていくと、玄関ポーチに付属するステップの高さが合わない・合わせようとすると勾配が適切に取れない、ということが起こります。
見た目おかしかったり水捌けが良くなくなるだけでなく、段差が不揃い故につまづいたりよろけやすくなる、という安全性にも関わってしまいます。
また玄関ポーチ自体の形状や広さも、外構計画でもっとこうなっていれば使いやすいのに、と拡張や削減など形状変更に至るケースも少なくありません。ここも「すきま」の一種であると考えます。
できれば計画段階から外構計画との擦り合わせをさせていただくか、ステップ造作だけでも外構に任せていただくか、そうすればより使いやすい安全なアプローチ・玄関になること間違いなしです。
↑アプローチ兼スロープを設置するために外構工事で玄関ポーチを拡張し、付属ステップの高さを変更し合わせた事例
後編では、外まわりの予算はどのように伝えたら良いのか?について解説していきます。
筆者紹介
連載『家づくりは“外まわり”で決まる ― 外構から考える住まいづくり』
外構の大切さを理解し、心から安心できる住まいを築いてほしい——そんな思いから始まった「日本庭女子会〜にわとわに〜」のコラム。新築計画に役立つ外構の知識やアイデアを、月1回更新でお届けします。
プロフィール
日本庭女子会〜にわとわに〜
エクステリア・ガーデン業界やそれをとりまく業種に従事する・携わる女性たちが、交流や情報交換を目的とし2017年に活動開始。
「庭や外部空間を美しく快適にすることが、住まいや暮らしを豊かに送るのに不可欠なことであり、ひいては日本の街並や景観・環境を美しく創り保ってゆくのに重要な役割を担っている」
また「住まい手だけでなく造り手・働き手の身になって考え、幅広い知識で美しく機能的な空間を造っているプロフェッショナルな女性たちがいることを知ってほしい」
そんな熱き想いを持った庭女子たちが、所属や経験・年齢を超え様々な切り口の委員会を組織し、日本各地で活動・躍動中。現在メンバー150人超。
https://niwatowani.jp/執筆者
芦川 美香 (あしかわ みか)
横浜市を拠点とするこの道25年超のエクステリア・ガーデンデザイナー。
株式会社アフロとモヒカン代表取締役。
「はじめのいっぽからさいごのちゃくちまで」を社のモットーに、日々お客様宅の外まわりをお客様らしく、美しく暮らしやすく整えるべく、設計・営業・現場に奔走中。
にわとわにプロフェッショナル会員、「美未備びびびっと安心安全委員会」所属、1級エクステリアプランナー、ブロック塀診断士、E&Gアカデミー講師
https://niwatowani.jp/?itemid=120&catid=12







