[連載]家づくりは「外まわり」で決まる―外構から考える住まいづくり エクステリアライティング
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マイホームデザイナープラスをご覧のみなさん、こんにちは。
毎月1回「日本庭女子会~にわとわに~」のメンバーが 家の外まわり(外構やお庭) にまつわる情報をお届けするコラム。今回で第9章となります。
今回はエクステリアライティングを考える際に知っておいていただきたい内容をお伝えします。
執筆担当は「株式会社コネクトデザイン・光環境設計室」 の菊原啓子です。
(プロフィールはこちら)
照明の役割とは
エクステリアライティングと聞いてパッと思い浮かぶものは何ですか?
夜間の明るさを補うもの?シンボルツリーを照らすもの?もしくは表札灯といったものでしょうか。
ひとことで「照明」「ライティング」と言っても、その役割は細分化されています。
例えば、
・明るくする役割
・デザイン(意匠性)で空間の印象を誘導する役割
・光で空間を演出する役割
などが挙げられます。
「このくらいの広さには何灯くらい必要」や「この樹種にはこの程度の照明器具が妥当」といったレクチャーを受けたことやマニュアルをご覧になったことがある方もいらっしゃると思います。この場合は照明を「明るくする役割」として捉え、明るく照らす視点から照明器具の台数や機種の選定・使い方を考えています。
この「明るくする役割」には、表札灯も含まれます。
明るく照らすことで、視認性を高めるといった目的があります。
照明をご提案される際には「この照明の役割は何か」さらには「どのような設計意図があるのか」といった視点であらためて捉えてみることが、オリジナリティのあるエクステリアライティングにつながっていくのではないでしょうか。
■デザイン(意匠性)照明例
▲カブキアウトドア(Kartell)
https://kartell.co.jp/item/47544.html#gsc.tab=0
画像提供:株式会社トーヨーキッチンスタイル
心地よさを可視化する光のチカラ
照明を「明るくするためのもの」と捉えてしまうのは、照明の最も分かりやすい効果が「明るさをもたらすこと」であるからかもしれません。( JIS照度基準 )
近年では照度*のみに頼らない光環境の設計についても規格化が進められています。
もちろん、安全を担保する場面では、明るさを軸とした設計が重要です。
一方で、住まいの心地よさや、その家らしさを演出するという観点では、単なる「明るさ」だけでなく、「いい感じ」と感じられる光の在り方が大切になります。
この「いい感じ」とは、空間の印象や過ごしやすさに影響する光のチカラであり、それぞれの住まいならではのライティングにつながっていきます。
例えば、枝葉の陰影を投影しゆらゆらとゆらめく様子を楽しむことや、水面のキラキラとしたゆらめきが空間に広がり、やさしい癒しをもたらすような表現も、光によって生まれるものです。
照明は、単に空間を照らすための設備にとどまらず、「なりたい暮らしのイメージ」を再現するチカラ、「心地よさ」を可視化するチカラをもっています。
それが前述した「光で空間を演出する役割」にあたります。
照度*とは
単位面積当たりに入射する光の量を示す。光源によって照らされている面の明るさの程度が表される。単位はlx(ルクス)。
ハイブリッドなライティング
照明の役割を「明るさ」としてしか捉えていない方に、「演出」のための照明をご提案すると、「わが家にはもったいない」と感じられるお施主様もいらっしゃいます。
しかし照明は、単に空間を明るくするためだけでなく、暮らしの質を高めるための重要な設備でもあります。
だからこそ、やみくもに灯数を増やすのではなく、限られた照明を効果的に配置し、省エネルギーと演出性を両立させることが、これからのエクステリアライティングには求められます。
ライティングも「明るさ+α」のハイブリッドで考えていきましょう。
ここからは、その「+α」を実現する具体的なポイントをご紹介します。
ー 植物の育成
植物工場のように「このライティングは植生専用」と用途を限定するのではなく、空間照明と役割を兼ねるという考え方も広がりつつあります。
近年では、人が使用する照明を一定時間、植物の育成に必要な赤・青の光へ自動で切り替えて照射することで、育成をサポートするライティングも登場しています。
これまで北側や日照が乏しいエリアでも、植栽の可能性が今後広がっていくことが期待されます。
▲三協アルミ社2026年秋発売予定「ミラリアes」
画像提供:三協アルミ
ー 防犯への取り組み
照明で防犯を万全にすることは難しいかもしれません。
しかし適切なライティングによって空間に「整った印象を醸し出すことで」防犯意識の高さを感じさせ、巻き込まれにくい環境づくりにつながると考えられています。(割れ窓理論*より)
割れ窓理論*(Broken Windows Theory)とは、建物の窓が割れたまま放置されると「誰も管理していない」という印象を与え、やがてゴミの投棄や落書きなど軽微な犯罪が増加し、最終的にはより深刻な犯罪に発展するという環境犯罪学上の理論です。
小さな乱れ(=割れ窓)を放置せず、適切に整えていくことが、結果として犯罪の抑止につながるとされています。
これからのエクステリアライティングでの留意点「光害(ひかりがい)」
みなさんは「光害(ひかりがい)」という世界的な影響はご存知でしょうか。
「照明の設置方法や配光が不適切で、景観や周辺環境への配慮が不十分なために起こるさまざまな影響をいいます」(環境省)
照明の明るさで天体観測に影響が生じたり、農作物の生育不良など耳にされた事象もあるかと思います。
環境省星空を見よう「光害」についてより引用
https://www.env.go.jp/air/life/hoshizorakansatsu/observe-5.html
エクステリアライティングも例外ではなく「お隣の照明が眩しくて眠れない」や「受験勉強に支障をきたした」など住まいの照明設計は周辺環境にどのような影響があるのかといった視点で折に触れ考えることをお勧めいたします。
そして「光害」に留意した設計として、ポールライトであれば上部に遮光板が施されたタイプ、スポットライトであれば眩しさを軽減させるオプションがあるタイプをあらかじめ選定することで対策が可能になります。
▲ガーデンアップライト ルーメック(タカショーデジテック)
https://takasho-digitec.jp/lighting/new-products2025/new2025-lumek/
グレア*とは不快な眩しさを指します
グレアカットオプション=眩しさを軽減させるオプション
画像提供:株式会社タカショーデジテック
エクステリアライティングのススメ
今回はエクステリアライティングを考える際に知っておいていただきたいことをお届けさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
照明・エクステリアライティングを明るくするためだけの設備に届けておくのはもったいないです。エクステリアライティングには敷地全体の我が家のなりたい像を再現できるチカラがあります。
エクステリアライティングは素敵な我が家・エクステリアの設計を昼夜通してお気に入りとして街に存在感もって在り続けることを可能にします。
窓からの景色を昼夜問わず楽しむことも叶います。
庭づくりの際には、そんな視点も持ってどうぞ街やSNSの画像をご覧いただき充実の我が家づくりにつなげてください。
筆者紹介
連載『家づくりは“外まわり”で決まる ― 外構から考える住まいづくり』
外構の大切さを理解し、心から安心できる住まいを築いてほしい——そんな思いから始まった「日本庭女子会〜にわとわに〜」のコラム。新築計画に役立つ外構の知識やアイデアを、月1回更新でお届けします。
プロフィール
日本庭女子会〜にわとわに〜
エクステリア・ガーデン業界やそれをとりまく業種に従事する・携わる女性たちが、交流や情報交換を目的とし2017年に活動開始。
「庭や外部空間を美しく快適にすることが、住まいや暮らしを豊かに送るのに不可欠なことであり、ひいては日本の街並や景観・環境を美しく創り保ってゆくのに重要な役割を担っている」
また「住まい手だけでなく造り手・働き手の身になって考え、幅広い知識で美しく機能的な空間を造っているプロフェッショナルな女性たちがいることを知ってほしい」
そんな熱き想いを持った庭女子たちが、所属や経験・年齢を超え様々な切り口の委員会を組織し、日本各地で活動・躍動中。現在メンバー150人超。
https://niwatowani.jp/執筆者
菊原 啓子(きくはら けいこ)
株式会社コネクトデザイン/代表取締役 光環境設計室®代表
建築意匠設計・空間デザイン・光環境設計に従事
外構、エクステリアの地明かりの計画=ファウンデーションライティング®を提唱
にわとわにプロフェッショナル会員、E&Gアカデミー講師
週刊エクステリア(株式会社協報)掲載 コラム「おそとの灯り」を4年に渡り連載中







