プロが導く理想のLDK|色と照明で魅せる空間づくりの実例紹介
- 取材

目次
「かっこいいモダンな空間にしたい」——そんな理想を思い描いて、家づくりを進めていた施主様。
今回は、そのイメージをもとに、プロのインテリアコーディネーターが色彩計画と照明設計を通して、空間の完成度をより高める提案を行った実例をご紹介します。
実際のヒアリング内容や提案の流れ、施主様の感想までを交えながら、理想の住まいづくりに役立つヒントをお届けします。
プロフィール

前田やす子氏
大阪北摂で活動。「インテリアが上質な人生への決め手になる!」
新築/リフォームのインテリア計画、アイテム購入アドバイス、オリジナル家具設計
色彩、心理、デザイン理論を軸にお客様だけのストーリーを組み立て、一目で刺さるビジュアル提案。
意味のある仕掛けで腑に落とし、クライアントの本音を引き出します。
ICA関西(インテリアコーディネーター協会関西)所属
https://ica-kansai.gr.jp/本企画は、メガソフトが実施した「インテリアアドバイス・プレゼントキャンペーン」によるものです。
当選された家づくり中の施主様に対し、プロのインテリアコーディネーターがアドバイスを提供しました。
■インテリアアドバイス・プレゼントキャンペーンとは
施主を対象に、プロからのインテリアアドバイスを抽選でプレゼントした企画。
計画中の間取図と施主の要望をもとに、インテリアコーディネーター協会関西所属のインテリアコーディネーター様に、プランをまとめた「プレゼンボード」を作成いただきました。
施主の理想は「モダンな空間」完成度を引き上げる色彩計画
施主様は当初から「モダンでかっこいい空間にしたい」という明確なイメージをお持ちでした。
選ばれていた建具や天井、照明は、グレイッシュなブラウン系を基調とした、落ち着いた雰囲気のある組み合わせ。

施主様が当初選んでいた建具や天井・床材を3Dで再現。十分素敵な内装に見えるが…
一見すると十分に魅力的な内装に見えます。
しかし、インテリアコーディネーターの前田氏は、施主様の理想に“より近づける”ためには、いくつか調整すべきポイントがあると感じました。そこで、元のプランを尊重しつつも、施主様のイメージと完成イメージをすり合わせるための配色・照明提案を実施。
特に注目したのは、「床などのベース木目色と下がり天井の微妙な色の差異」、そして「空間の全体像と照明のテイストがわずかにずれている点」でした。
一体ここからどう修正し、施主様の理想をより高い完成度で実現するのか、その考え方を深掘りします!
ヒアリングで把握した施主の理想とライフスタイル

最初のヒアリングでは、お客様がインテリアコーディネーターに求めている具体的な作業内容、様々なご要望を、わかっている範囲で伺わせていただきました。
今回は新築工事中の内装決定スケジュールに関わるので、期日を外さないことと、調整事項を明確にすることを目的に質問させていただきました。
ヒアリング内容(一部抜粋):
■スケジュールについて
・設備機器や内装仕様の決定状況を整理
・カラー提案による扉や床などの建材の色柄変更の可否を確認
■ カラー・内装の方向性について
・色彩計画の方向性
・内装クロスの候補や希望する機能・色柄
・標準仕様書の中で使用を避けたい色柄
・標準仕様書の中で変更したくないお気に入りの色柄
■ 照明計画に関する確認
・吹き抜け空間にブラケット照明や間接照明を設置するか
・吹き抜け天井部分の照明器具決定状況と変更の可否
■ ライフスタイル・好みのテイストについて
・お気に入りのファッションや小物
・好みの雰囲気やインテリアスタイル
・LDK空間を利用する、ご家族の趣味やライフスタイル

たとえば、スケジュール感とか、どの段階で何を決める必要があるのかとか、予算の幅とか。
そういう“外側”をちゃんと聞くことって、仕事としてはすごく大事なポイントだと思ってます。
スケジュールや予算といった情報も大切なんですね。


「お客様ご自身が決めていくことに対し期待をもって他人を入れてくださるのだから、お客様の近い将来を必ず良いものにしたい。」
ここを実現できるように動いていきます。
期待値を超え、感動をしてもらえること。それに努めています。
お客様の想いに寄り添う姿勢、素敵ですね。

ご要望をもとに、色彩提案の方向性を共有
ヒアリングを通して、施主様がインテリアに求めていた内容は以下のように整理されました。
施主ご要望(一部抜粋):
・現時点で選んでいる内装材の色が、理想のイメージに合っているか不安
・LDKの空間に対して色彩計画のアドバイスがほしい
・「モダン」がキーワード
・趣味はアウトドア(バイク・キャンプなど)
このようなご要望とライフスタイルを踏まえ、前田氏は施主様と配色の方向性をすり合わせながら、具体的な改善提案へと進んでいきます。
建具と下がり天井の色差に着目

お客様の理想とするイメージは、かっこいいモダンなスタイルでしたが、既に決定されていた内装の色を確認した際に、ベースの床色、アクセントの建具色と下がり天井の色味が異なる「ブラウン」であった点が特に気になりました。

少し違う程度なら問題ないのでは?


同じ視界に入る色が中途半端に異なっている状態は避けるべきなんです。
同じ色相にするか、思い切って異なる色や柄を取り入れることで、散漫な印象を防ぐことが大切です。


なので、下がり天井の色は「ブラック」と「グレージュ」という2つを提案させていただきました。


なるほど、建具の「ブラウン」と「異なる色」ですね。


はい、ハードな空間を好まれることは分かっていましたが、「ハード×ハード」なのか「ハード×ソフト」なのかを見極める必要があったので、選択肢をあえて2つ用意させていただきました。
吹き抜け照明を活かす発想転換|「外し」の演出と機能性

ハードな印象を好む一方で、吹き抜け天井の照明が柔らかいテイストのものであった点が気になりました。
「うーん、どうしようかな」って最初は思ったんです。


でも、あの丸い照明ってベーシックな形だから、どう活かすかで印象が変わるんですよね。
実用的な側面として、吹き抜けの照明は掃除のしやすさもありますし。
お客様のバイクやキャンプといったアウトドアの趣味を考えると、「照明のメンテナンスよりも、外に出て好きなことに時間を使いたい方だろうな」と想像したんです。
そこから活かす方向に切り替えたんですね。


はい。お客様が送ってくださった写真に夕日の写真があって、それを見たときに「この丸い照明って、施主様がアウトドアで見る夕日や月に見立てられるな」ってひらめいて。
そこから「自然の光」「月のような浮遊感」をキーワードに、あえてこの照明を活かす方向で、キッチンまで自然に繋げるように組み立てていこうと考えました。
「外し」のテクニックですね!


そうそう、それです!ファッションでもありますよね?
スーツの中にデニムシャツ合わせるみたいな。
あえて外すことで、全体に面白み・個性が出る。
インテリアもイメージをカチッと固めすぎると逆にお堅くなるんですよ。
病院とか消防署みたいに…。
確かに、全部が「かっこいい」だと、どこか息苦しくなるかも。

キッチン照明とゾーニングで「集中しやすい空間」を設計
オープンキッチンでは、広すぎる視界からの集中と作業性が重要です。
施主様が選ばれていた揺らぎのあるペンダントライトは魅力的な一方で、集中を要するキッチンスペースには若干の課題も。
前田氏は施主様のアイテム選定を尊重しながら、照明のトーンを調整し、ダイニングとのゾーニングを工夫。空間全体のかっこよさをさらに引き立てる提案を行いました。

オープンキッチンは視界が広くて、作業スペースとしても集中しやすい環境が必要なんです。
なので、より落ち着いて作業ができる照明を選ぶことが重要だと考えました。
もしお客様がその照明に強いこだわりを持っているのであれば、キッチン内での照明位置を見直すことも視野に入るなぁと考えていましたが…。
終盤のタイミングだったから、大きな変更は難しかったんですね。


そうなんです。
ただ、お客様が送ってくださったキッチン用品がすごく「かっこいい」印象だったのと、ヒアリングでも「全体的にモダン・かっこいい系のトーンで揃えたい」と仰っていたので、「このアイテムたちを引き立てたいんだな」と感じました。

スタイリッシュなフォルムが印象的なコーヒーメーカーイメージ。
施主様の“かっこよさ”へのこだわりが随所に感じられます。

エッジの強いグッズが並ぶときは、シンプルな光で照らして、各アイテムの“粒”をサラッと立ててあげることが大事。ドラマチックな照明だと、かえって大袈裟になってしまうんですよね。
たしかに、光が強すぎると主張がぶつかってしまう印象があります。


そうなんです。
だから、キッチンには“光がやさしく軽い”ことが特徴のペンダント照明を選びました。
黒い下がり天井の迫力を重たくしない、そんな効果もあるんですよ。

見た目の印象だけでなく、軽やかさの調整もされていたんですね。


さらに、どの照明も“乳白色の光源”で統一しています。
光源部分の光り方を統一することで、空間全体のイメージをつなげることができるんです。
それがリビングの“ソフト”と、キッチンの“ハードソフト”の繋がりにもなるわけですね。


そう。そしてもうひとつ大きいのが、リビングの吹き抜け壁1辺に使われていた“グレーの石目調クロス”です。
これがとても上品で、ハードソフトな空間を中和しながら自然につないでくれました。


リビングは吹き抜けがあって、キッチンとは天井の高低差もあります。
その高低差と色の量感を使って、キッチンへ“ぎゅっと求心性”を持たせたんです。結果的に、長居したくなる“カフェのようなまとまり”が生まれました。
なるほど、居心地の良さにも照明とゾーニングの意図が活きてるんですね。


そうですね。空間のベースとなるトーンや素材は、イメージに共通点を持たせておくと、後々の家具選びなんかもすごく楽になりますよ。
施主の声|理想と実用を両立できたプランがこちら!

ヒアリングで汲み取ったご要望やライフスタイルをもとに、
言語化されたイメージと視覚で伝えるデザイン提案に落とし込んだプランボードを作成されました。
「なんとなく好み」を「自信を持って選べる基準」へと導く——
そんな能動的な判断ができるよう、情報整理とビジュアル設計を意識した色彩計画です。
その結果、施主様からは次のようなお声をいただきました。
施主の声:
こちらの元計画を崩さず、イメージ要望を的確に取り入れていただき、非常に満足度の高い色彩計画になりました。期待以上の提案をいただき、本当にありがとうございます。