2025年11月 建築基準法改正「防火・避難規制」は実務にどう影響する?わかりやすく解説

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2025年11月施行の防火・避難規制改正とは?建築基準法の変更点をわかりやすく解説

「建築基準法施行令の一部を改正する政令」が2025年11月1日より施行され、建築物に関わる防火・避難規制が大きく見直されました。
今回の改正は、火災安全を確保しつつ、木材利用の促進既存建物の改修負担の軽減を目的にしています。

本記事では、改正の背景、改正前と後で何がどう変わったのか、そして現場で押さえておきたいチェック項目をわかりやすくまとめました。

防火・避難規制改正の背景:3つの動き

防火・避難規制改正の背景

1. 木材利用を後押しする国の方針

日本は2050年までにカーボンニュートラルを実現する目標を掲げており、建築物への木材利用がその重要施策の一つと位置付けられています。
木材は温室効果ガスの吸収・貯蔵効果があり、脱炭素社会の実現に資するため、国は建築現場での木材活用を積極的に推進しています。
この方針を受け、防火規制も木材利用を考慮した見直しが求められました。

2. 防火規制の合理化と設計自由度の向上

防火・避難に関する規制は、従来の基準では設計の自由度が制限されるケースがありました。
今回の改正では、現代の建築技術や施工方法に対応しつつ、安全性を確保することを前提に、設計上の柔軟性を高める方向で規制が合理化されました。
これによって、建築物の構造や内装に応じた効率的な防火対策が可能になります。

3. 既存建築物の改修負担を軽減

これまで既存建物の改修時には現行基準への適合が必要で、コストや工期の負担が大きくなっていました。
しかし今回の改正で一部規制が緩和され、改修やリノベーションがよりスムーズに行えるようになりました。
これによって、建物の改修計画の柔軟性と実務負担の軽減が期待されます。

防火・避難規制はどう変わった?改正前と改正後のポイント比較

改正前と改正後でどこがどう見直されたのかを一目で確認できるよう、建築基準法の防火・避難規制の主要ポイントをまとめました。
木材利用や小屋裏、排煙設備、既存建築物の改修など、設計・施工の現場に直結する項目を比較し、改正の影響をすぐに把握できる内容になっています。

項目改正前改正後
内装仕上げ・下地の
防火区画内規制
仕上げ材・下地ともに「不燃」「準不燃」材料が原則。告示に定める「準ずる措置」を満たせば木質材料も使用可能。
例)厚さ25 mm以上の硬質木片セメント板や厚さ21 mm以上の強化石膏ボードで施工する場合、下地を準不燃・不燃材料にする必要なし。
小屋裏隔壁の
設置義務
木造300㎡超では小屋裏隔壁設置が必須。告示に適合すれば小屋裏隔壁不要。
例)避難上・延焼防止上支障のない室や通路では、桁行間隔12 m以内でも隔壁の設置不要。
無窓居室の
排煙・給気口
排煙口面積は一律規定。床~天井距離や排煙設備の設置状況に応じて面積を算定可能。
例)各室に自動消火設備または告示で定める排煙設備を設置すれば、従来の開口面積基準を緩和可能。
防煙壁・排煙設備の
構造・材料
防煙壁は不燃材料、区画構造義務が厳格。準耐火構造の梁等も防煙壁扱い可能、自然排煙口の不燃材料義務撤廃。
例)防煙区画の一部で準耐火構造の梁を使用し、告示の距離条件を満たす場合、防煙壁を省略可。
敷地内通路
(避難・消火用)
幅員・設置義務が厳格。避難・消火上支障がなければ通路の設置を要しない。
例)建物周囲の空地で幅1.5 m以上あれば通路として扱える。
簡易リフト
(昇降機)
確認申請・完了検査対象。労働安全衛生法の簡易リフトは建築基準法対象外。
既存建築物の改修
(屋根・外壁・軒裏)
修繕時に現行耐火・防火基準適合が必須。改修負担軽減措置が追加。

例として挙げているものは、告示に基づいた内容になっています。
告示についての詳細は、国土交通省「建築基準法施行令の一部を改正する政令及び関連告示」をご確認ください。

実務で押さえておきたいチェックポイント

今回施行された防火・避難規制改正は、建築設計や施工現場に影響する重要な内容です。
特に木材利用の自由度向上、既存建築物改修の負担軽減、防火設備の合理化など、各関係者が確認すべきポイントがあります。
ここでは、設計・施工・営業の立場ごとに注意点を整理しました。

設計事務所向け

  • 設計段階での防火区画確認
    不要な防煙壁・隔壁を減らし、空間デザインの自由度が向上する。小屋裏、吹き抜け、無窓居室など、防火・避難上の規制を図面に反映。延焼リスクを想定した区画計画を早期に固める。
  • 木材利用の計画
    木質化したい施主ニーズに応えながら、不必要な耐火仕様を避けてコスト最適化が可能。内装材に木質材料を使用する場合、告示準拠を踏まえた安全設計を実施。準耐火構造との組み合わせや梁・天井との納まりも確認。
  • 排煙・防煙設備の柔軟活用
    排煙口・防煙壁の設置基準が改正されているため、性能に応じた柔軟な設計が可能。設計段階で仕様を明確化して、施工時の混乱を防ぐ。
  • 確認申請・告示適合の整理
    新しい基準に従ってチェックリストや設計標準書を更新。改正後の要件に適合することを確認する。

工務店向け

  • 施工仕様の事前確認
    内装材や防火設備の材料・厚み・施工方法を、設計図・仕様書と照合。改正後の規制に基づき、施工ミスによる防火リスクを回避。
  • 貫通部・設備納まりのチェック
    配管・配線・ダクトの貫通部には防火措置を施す。梁・天井との干渉や施工後の確認を徹底。
  • 既存建築改修時の適用範囲確認
    屋根・外壁・軒裏の緩和規定を適用する場合は、事前に確認申請書類や図面で範囲を明示。施工計画を無理なく調整。
  • 現場記録・確認体制の強化
    写真やチェックリストで施工状況を記録。防火措置や納まりが設計意図通りであることを現場で確認。

営業向け

  • 施主への説明責任
    改正後の緩和規定や木材利用の可否、工期・コストへの影響をわかりやすく説明。誤解を避け、安心して契約・施工に進める。
  • 改修案件のリスク整理
    適用可能な緩和措置と条件を整理し、計画段階で施工者や設計事務所と共有。追加工事や設計変更リスクを低減。
  • 関係機関との調整
    確認検査機関や消防署との事前協議を推進。告示準拠や隔壁不要基準など、解釈の差異が出やすい現場運用に関する確認を早めに行う。

まとめ

今回の「建築基準法施行令の一部を改正する政令」による2025年の見直しは、単なる規制緩和ではなく、火災安全と建築の自由度の両立を目指すアップデートです。
木造建築の普及を後押しする重要な制度改正といえます。

木材利用がしやすくなり、既存の建築物への改修負担も軽くなるなど、建築現場にとってポジティブな影響が多い一方で、性能ベースの基準が増えたことで、設計者・施工者にはより高度な判断が求められる場面も増えるでしょう。
早めに情報をキャッチし、自社の設計・施工体制に反映させましょう。

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