作業療法士ICが伝える部屋別チェックポイント 55歳からのインテリアの作り方【玄関】
- お役立ち

家の顔「玄関」 ~おしゃれ要素も忘れずに
使い勝手だけではなくおしゃれ要素も大事なのが玄関です。たとえば、
こだわりの新築をたてたあと、高齢の、少々足腰の悪いご両親と一緒に住まうことになったので、玄関の上がり框に手すりが必要になった。そこで業者に頼んで手すりをつけてもらったら、ザ、介護な手すりで、なんだかとってもテンションが下がってしまった。
この、心の奥底のチクッとした感情が、その後の介護生活、さらには家族関係に徐々に響いてしまう。
そんなことがあっては大変です。
玄関は家に入って最初に目につく空間、家の顔ですから、インテリアコーディネーターとして声を大にしていいたいのです!
たとえ介護が必要なご家族がおられる家庭でも、
\\ よく通る場所・よく見る場所はデザイン性も大事です!! //
私たちプロは、ご本人やご家族は諦めてしまって口にはしないかもしれないけれど、本当はもう少し見栄えも整えたい、と思ってらっしゃる場合もある、といことを忘れてはいけないと思います。
特に、医療職はついつい、手すりの握りやすい太さ、設置する高さ、など使い勝手だけに走ります。
私もかつて、退院指導で玄関手すりを提案するときにインテリア性なんて全く配慮していませんでした。
一番いい位置に、介護保険の範囲で安く取り付けることだけを考慮していました。
下地がないからと言って、見栄えなんて気にせずお手頃な板を必要な所にだけ、まさにとってつけたようにくっつけてその上に介護手すりを施工。
今思えばせめて、くっつける板を周りの建具と色合いを合わせるとか、デザイン的にラインを通すとか。何か一工夫見栄えに関する提案もすればよかったなぁと反省しきり、少しお金をかけてでもおしゃれにしたい方はおられたのではないかと思います。
さて、そんな私のかつての反省はさておき、急いでいるからと、業者に残念な手すりをくっつけられないために、玄関には新築やリフォームの際に最初から玄関の手すりをとり着けておくことをおすすめしています。

手すりがあれば若い人も使います。
上がり框の上り下り、ブーツを履くときなどなど便利です。
もし手すりがなかったら壁に手をつくことになり、長年のうちにクロスがそこだけ黒ずんできたり、破れてきたりもしますから、あらかじめ、デザイン的に納得のいく手すりをつけておくことで、汚れ防止にも役立ちます。
それでも、手すりはまだいいなと思うなら、せめて下地だけはいれておくことをお勧めします。マンションのオプションなどにも手すり用下地とあれば絶対にいれておいたほうがいいです。
作業療法士として申し上げると、靴を履くという動作は足腰が弱ってきたときにはかなり難易度の高い動作です。いずれ必ず誰しも、玄関には手すりと段差解消の式台は必要になる日が来るということを、頭に入れておいていただきたいです。


最後に、手すりの高さです。
玄関は上下に昇降運動が伴いますので、玄関の上(廊下側)に立っても、そして下(土間側)に立ってもどちらでも握りやすい高さを確保する必要があります。ですので縦手すりか、または、上の段でも下の段でもいい高さになるようにナナメにつけることになると思います。
段差のほとんどないマンションだと横につけるのでもいいかもしれません。

もくじ
1.序章 ~家の中には危険がいっぱい |
2.キケンエリア「階段」 ~絶対にころびたくない場所!階段のはなし |
3.家の顔「玄関」 ~上がり框・アプローチ・手すりのはなし |
4.トイレ ~介助を見越した広さと向きのはなし |
5.風呂 ~”おぼれる”を回避するには? |
6.リビング ~ラグを敷く?敷かない?つまづきのはなし |
7.ダイニング ~”つまる”と座位姿勢のはなし |
8.寝室 ~カーペットのはなし |
執筆者紹介
松本 理絵 氏
作業療法士(国家資格)
インテリアコーディネーター/二級建築士
有限会社宮本家具工業所 副社長
Web
公式:トータルインテリア専門店 ミヤカグ
インスタグラム も更新中
広島県インテリアコーディネーター協会 副会長

広島大学医学部保健学科を卒業し、広島市内にて作業療法士として病院で高齢者のリハビリの仕事に従事。
その後、結婚を機に夫の家業である家具製造販売会社に入社。
入社後インテリアコーディネーター資格、二級建築士資格を取得し、現在では「広島一敷居の低いインテリアコーディネーター」をキャッチコピーに、お客様の生活空間を豊かにするためのインテリアを提供している。
「元医療職をいかして、目の前の困っている人のニーズをしっかり拾って寄り添ったリフォームやアイテム選定など心がけています。」