門まわりの重要性

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門まわりの重要性

マイホームデザイナープラスをご覧のみなさん、こんにちは。
毎月1回「日本庭女子会~にわとわに~」のメンバーが家の外まわり(外構やお庭)にまつわる情報をお届けする本コラム。

今回は、エクステリアのプランニングの重要なポイントである「門まわり・アプローチ」について、エクステリアプランナー「おうちまわりデザイン」の福元が担当させていただきます。

門まわりは、なぜ重要?

門は道路から敷地への入り口であり、住宅全体のフロント部分にあたる、いわば「家の顔」です。
訪れる人が最初に目にし、住まいの印象を決定づける重要な要素でもあります。

門まわりは可能な限り広めに確保し、ゆとりをもたせることが理想です。敷地の広さの問題でどうしても狭くなってしまう場合は、さみしく貧相な印象にならないよう素材選びや配置、デザインの工夫によって補うことが大切です。

門まわりを美しく整えながら、家の顔として機能させる工夫

【例】
・家全体の雰囲気やバランスを意識して、住宅デザインとのコーディネート
・街並みへ心を配り、シンボルツリーなどの緑を取り入れ、景観に寄与
・道路と敷地の境界をはっきりとさせ、セキュリティを強化
・セキュリティを強化するのであれば「大きな門」や「重厚な門」を検討
など

門まわりのスタイル

門まわりのスタイルの基本

門まわりは、「オープンスタイル」「クローズスタイル」「セミクローズスタイル」の大きく3つのスタイルに分けられます。それぞれのスタイルのメリットとデメリットを解説します。

オープンスタイル

オープン外構のデザイン
特徴門は独立型で門扉を設けず、塀やフェンスなどで囲わないスタイルです。
フレームゲートやアーチをシンボルとして門に見立てたり、表札・インターホン・ポストが備わった機能門柱を設置することもあります。施工部分や使用する製品が少なく済むので、外構費用を抑えることができます。
メリット開放的で、空間に広がりが感じられるので実際の敷地より広く見せることができます。
街並みに調和しやすい空間設計で、ご近所とのコミュニケーションを取りやすい面もあります。
デメリット開放的ということは、開いている部分が多いということです。
そのため、プライバシーや防犯面がどうしても弱くなってしまいます。境界となる門やフェンスなどの囲いがないと、敷地内からお子様やペットが道路面に飛び出す危険性もあります。

クローズスタイル

クローズスタイルの門まわり
特徴門や門扉を設け、敷地を高めの塀などで囲み、外部からの侵入や視線を遮ります。
用いる資材や製品が多いうえに施工部分も増えるので、外構費用が高くなります。
メリットプライバシーが守られ、防犯性が高いです。外部から遮断された空間になります。
落ち着いたリラックスムード漂う空間構成が作りやすく、庭でゆっくり過ごしたい方にはおすすめです。重厚感や高級感を演出できるのも良い点です。
デメリット外部と遮断してしまうので閉鎖的になりやすく、高い塀や大きな門は要塞的になり、周囲の景観に圧迫感を与える場合もあります。

セミクローズスタイル

セミクローズの門まわり
特徴オープンスタイルとクローズスタイルの折衷スタイルです。
門や門扉は設ける場合と、設けない場合があります。塀やフェンスなどは必要なところに部分的に囲いを設けます。
メリット開放感とプライバシーを両立。オープンスタイルとクローズスタイルの良い部分を採用した、いいとこどりの合わせ技スタイルです。
デメリット設計次第ではちぐはぐな印象になり、まとまりのない中途半端なプランになってしまうこともあるので設計者とよく話し合い、プランを練る必要があります。

このように門まわりには3つのスタイルがありますが、エクステリアデザインは「必ずしもこうしないといけない!」という決まりはありません。建物、敷地、周辺環境、景観など様々な要素によって、その家に合う門まわりは千差万別です。

おすすめしたい!「壁(ウォール)」を門、塀としてデザイニング

門まわりデザインで、私がおすすめしたいのは「壁(ウォール)」をフレキシブルに捉え、活用する考え方です。ここでいう壁とは、単なる塀ではなく「修景ウォール」。部分的に門となり、塀となり、さまざまな役割を担う存在です。

修景ウォールの例

修景ウォールのイメージ

ウォールの役割

修景ウォールは、門灯・表札・ポスト・インターホン・門扉などを取り付ける機能門柱ならぬ「機能ウォール」として使うことができます。また、目隠しや土留めといった、暮らしを支える生活機能も兼ね備えています。

さらにウォールは、門まわりのシンボルとして、空間を区切る間仕切りとして、視線を引き付けるアイキャッチとしても効果的です。アプローチや中庭とつなげることで、外構全体に一体感を生み出すこともできますし、修景ウォールは実に多彩な役割を果たしてくれます。

一般的に門塀の高さは、門扉より100〜200mm高くするのがセオリーとされています。
しかし、あえてこの考え方にとらわれず、自由な高さでウォールを設計することが、デザインの幅を広げるポイントです。

もうひとつ大切なのが、「裏表」を意識しないこと。
道路側を表、家側を裏と考え、表面だけを美しく仕上げる方法はおすすめしません。ウォールもまた、住空間に彩りを与えることができる大切な景観の一部です。
住まう人にとっても、訪れる人にとっても、心地のよい景観になるよう心がけてみてください。

アイデア次第で、無限の可能性があるのが修景ウォールです。
門まわりのデザインに悩んだときは、ぜひ修景ウォールををデザインに活かすことも検討してくださいね。

修景ウォールの家側

アプローチの基本

道路から玄関までの動線機能のことを「アプローチ」といいます。
敷地の外と住宅を結ぶルートであり、門まわりとともに、その住宅の印象を決定する大事なエリアです。

アプローチは、門と同様に住宅のデザインとの調和が不可欠です。また、小さなお子様やご老人、体の不自由な方も安心安全に歩けることが大切。

動線は短い方が機能的でコストも抑えられますが、単純に門から玄関を直線で結ぶだけが正解とは限りません。少し動線が長くなっても、玄関との正対を避け、動線に少し余白を持たせて奥行きや変化を楽しめるよう工夫した方が良いでしょう。

アプローチは、住まう人が日常的に通る部分であり、訪れる人を迎える場でもあります。単調にならないように工夫し、歩くたびに心が和むような雰囲気づくりも大切です。素材には滑りにくい素材や仕上げを選び、雨天時の安全性も考慮しましょう。

アプローチの幅

アプローチの幅員ふくいんは、「誰が、どのように通るか」を想定して計画することが重要です。
一人で歩く場合は最小限の幅でも問題ありませんが、子どもと手をつないで歩く、ベビーカーを押す、車椅子を利用するといった状況になると、必要な幅は大きく変わってきます。

日常の使い方や将来の暮らし方まで見据えて計画することが、安心で快適な外構づくりにつながります。

最適な幅の説明図

アプローチ(階段・スロープ)

敷地と道路に高低差があれば、階段かスロープで人が歩けるようにしなければなりません。
階段は昇降しやすい機能と転落しない安全を確保するのが大前提ですが、屋外の階段については靴を履いて使用するため、室内の階段とは設計寸法が異なる点も注意が必要です。
雨天時の安全性も考慮して滑りにくい素材や仕上げにしましょう。

アプローチ(階段)の基本サイズ

蹴上、踏面のイメージ

階段の理想的な寸法は、
蹴上けあげ160mm以下 × 踏面ふみづら300mm以上 とされています。

一方で、一般的な最低基準寸法は、
蹴上けあげ180mm以下 × 踏面ふみづら300mm以上 が目安です。
※ただし、蹴上げが100mm以下になると、かえってつまずきやすくなるため注意が必要です。

寸法の目安は、次の算出式から考えることができます。
踏み面を a、蹴上げを b とした場合、
a + 2b = 600〜630mm
この範囲に収まる寸法が、歩きやすい階段とされています。
 

寸法推奨寸法
踏面260mm以上270~300mm
蹴上げ200mm以下150~175mm

アプローチ(スロープ)の基本サイズ

スロープの勾配は、車椅子の利用形態によって目安が異なります。

スロープの勾配

① 自立用車椅子を使用する場合
勾配:1/15(約6%)→ 高さ1mを上がるために、15mの距離が必要です。

② 介助者がいる車椅子を使用する場合
勾配:1/12(約8%)→ 高さ1mを上がるために、12mの距離が必要です。

【例】
距離が5mの場合、勾配を%で考えると、
① 1/15では 約30cm 上がることができます。② 1/12では 約40cm 上がる計算になります。

アプローチを“快適な場所”として創る

アプローチは、距離により、とどまる・くつろぐ・使う・歩く場として様々な空間演出が可能な場です。
「家に入るために歩くための道」として機能的な面だけで考えるのではなく、「愛する家族や親しい人を迎える物語のステージ」として考えてみると、とてもドラマチックです。

美しい木々や花々で季節感を彩ったり、あたたかみのあるレンガブリックでほっとできる印象に、はたまたスタイリッシュに洗練された印象に…など植栽や素材選びで、アプローチの空間設計はがらりと印象が変わります。

アプローチの演出

アプローチ(階段・スロープ)も、道路と玄関を結ぶ通路も、デザインを工夫することで、「歩く」「登る」楽しさを演出できます。

アプローチのデザイン
アプローチのデザイン

また、門から住宅をつなぐ導線に限らず、アプローチはもっと自由な導線設計で様々な演出が可能です。例えば、以下のような演出ができます。
・テラスと兼用のアプローチで、機能性を持たせながら過ごせる空間へ
・庭を横切るアプローチで、季節の移ろいを感じさせ心に潤いを与える
・ガレージを通るアプローチで、生活の質向上をサポート
・ウェーブのあるアプローチで、思わず楽しくなる心持ちに

▼ガレージを通るアプローチの例

自由なアプローチデザイン

アプローチはどこをどう通ってもOKなんです。
そんな発想が刺激的な創造性の空間づくりにつながり、施主様にとってこの世に一つだけの、自分たちらしい住まいづくりに繋がると思います。

まとめ

今回は、エクステリアのプランニングの重要なポイントである「門まわり・アプローチ」のご紹介をしました。私は、生活機能となる部分がうまく配置されていて、それらのデザインに個性が表現されている空間が、心地よいエクステリアであると思っています。

機能とくつろぎのバランス、デザインが平坦ではなく動きが感じられること、おもしろさ、楽しさを感じられること、将来予測される生活変化の対応がフレキシブルにできることが大切です。

また、表情豊かな門まわりやアプローチには植栽計画も必要です。
人々に季節の変化を伝え、エクステリアに動きを出す植栽は、豊かな空間設計には欠かせません。住まう人とともに成長し変化していく植栽は住まいの歴史、住まう人の物語の大切な要素にもなります。

基本の形式通りに設計するのではなく、自由な発想で設計することで、創造性豊かな唯一無二のエクステリアが実現できます。

筆者紹介

連載『家づくりは“外まわり”で決まる ― 外構から考える住まいづくり』

外構の大切さを理解し、心から安心できる住まいを築いてほしい——そんな思いから始まった「日本庭女子会〜にわとわに〜」のコラム。新築計画に役立つ外構の知識やアイデアを、月1回更新でお届けします。

プロフィール

日本庭女子会〜にわとわに〜

エクステリア・ガーデン業界やそれをとりまく業種に従事する・携わる女性たちが、交流や情報交換を目的とし2017年に活動開始。

「庭や外部空間を美しく快適にすることが、住まいや暮らしを豊かに送るのに不可欠なことであり、ひいては日本の街並や景観・環境を美しく創り保ってゆくのに重要な役割を担っている」
また「住まい手だけでなく造り手・働き手の身になって考え、幅広い知識で美しく機能的な空間を造っているプロフェッショナルな女性たちがいることを知ってほしい」

そんな熱き想いを持った庭女子たちが、所属や経験・年齢を超え様々な切り口の委員会を組織し、日本各地で活動・躍動中。現在メンバー150人超。

https://niwatowani.jp/

執筆者

筆者プロフィール

福元敬子(ふくもと・けいこ)

エクステリアプランナー/Exterior&Garden Design office おうちまわりデザイン代表。大阪府在住。

住宅や施設の外構・庭づくりを中心に、フリーランスのエクステリアプランナーとして活動。E&Gアカデミー講師、建築専門学校非常勤講師として後進の育成にも携わるほか、エクステリアメーカーのセミナー講師、コンテスト審査員などもつとめる。

「女性ならではの感性で、暮らしの“心地よさ”をデザインする」をテーマに、家族が自然と笑顔になる外まわり空間づくりを提案。エクステリア&ガーデンの力で“お家がもっと好きになる”暮らしを届けることを大切にしている。

・日本庭女子会にわとわに プロフェッショナルメンバー
・LLPまち杜の環 所属メンバー

https://niwatowani.jp/?catid=12&itemid=114

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