[連載]作業療法士ICが伝える部屋別チェックポイント 55歳からのインテリアの作り方 ⑦一日の疲れを癒す「寝室」~より快適な空間に!

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ここまでお部屋ごとに「55歳からの快適で安全なインテリア」についてお話ししてきましたが、いよいよ最終章。今回は寝室についてです。

55歳からは断然ベッドがおススメ

私はインテリアショップを経営しているため、日々ベッドのご提案もしています。

まず最初の一歩として、畳にお布団で寝ている方にベッド生活をご提案すると、「とても快適になった!」と喜びのお声をいただくことが多いです。

畳にお布団派の方には「日本人だから…」というこだわりを一度手放して、ぜひ一度ベッド生活を試していただきたいと思います。
床からの立ち上がりのしんどさや、毎日お布団をたたんで押し入れにしまう手間から解放されるはずです。

55歳からのベッド選びのポイント

1. 立ち座りのしやすさ
 高さは40センチ以上がおススメ。
 膝や腰に負担がかかりにくく、将来膝が痛くなったときも安心です。

2.寝返りの打ちやすさ
 柔らかすぎず、沈み込みすぎない高反発のマットレスが◎。
 筋力が落ちてきてもスムーズに寝返りができます。

3.お掃除のしやすさ
 収納付きベッドは下にほこりや湿気がたまりがち。
 脚付きのフレームで、掃除機やフローリングワイパーがかけやすいタイプがおすすめです。

4.メンテナンスのしやすさ
 できるだけ軽いマットレスを選びましょう。シーツ交換やローテーションが楽にできます。
 軽さで選ぶならノンコイルマットレスという選択肢も!

さらに、ご予算に余裕があれば電動ベッドも検討の価値あり。介護用という視点よりも、背を起こして映画や読書を楽しめるなど、優雅なベッドタイムを叶えてくれます。

寝室の床材について

ホテルの寝室を思い出してください。カーペット敷きが多いですよね。
カーペットは滑りにくく、はだしで歩けて安全で、もしもの転倒時には衝撃を和らげてくれるという話はすでに階段の回リビングルームの回でもしたのですが、それ以外にもいい効果がたくさんです。

見た目に「高級感」や「ぬくもり」を演出できるだけでなく、実際に快適性で居心地のいい空間を作るのに役立ってくれます。

  • 吸音効果で反響音を軽減、落ち着いた空間になる
  • 起き上がるときに床が冷たくなく、ヒートショックを軽減
  • LED照明などの強い光の反射を抑え、目の疲れやそれによるストレスを軽減
  • ほこりの舞い上がりはフローリングの約10分の1。空気環境改善に役立ち、喘息の方にもおすすめ
  • 冷暖房効果を高め、快適な温熱環境

ご高齢のお客様のベッドルームをカーペット敷き詰め(グリッパー工法)に変更させていただいた事例写真です。(以前はフローリングでした)

かつては「カーペット=ダニやアレルギーの原因」と言われ長年憂き目を見てきたカーペットですが、近年の研究で相関関係はないことがわかってきました。さらに、防汚・防ダニ・抗菌・抗ウイルスなど高機能な繊維や加工が開発され、むしろ赤ちゃんや小さなお子さん、高齢の方やペットのいる暮らしにこそおすすめとされています。

今あらためて見直されているカーペットは、寝室の床材として非常に優れた選択肢です。
 

寝室は「1日の疲れを癒す場所」であり、同時に「明日の元気を育てる場所」でもあります。
「睡眠は人生の約3分の1を占める」と言われているように、寝室ですごす時間は思ったより長いです。
「快適さ」と「安全性」の両方を大切にすることが、これからの暮らしを豊かにする秘訣です。

おわりに

インテリアを整えることは、これからの毎日をもっと心地よくする小さな一歩。
そして55歳はライフスタイルを見直す時期。安心と快適さを兼ね備えた空間づくりは、未来の自分への投資です。
このコラムを参考に、無理なくできることから始めてみませんか。

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執筆者紹介

松本 理絵

作業療法士(国家資格)
インテリアコーディネーター/二級建築士
有限会社宮本家具工業所 副社長
Web
 公式:トータルインテリア専門店 ミヤカグ
    インスタグラム も更新中
広島県インテリアコーディネーター協会 副会長

広島大学医学部保健学科を卒業し、広島市内にて作業療法士として病院で高齢者のリハビリの仕事に従事。
その後、結婚を機に夫の家業である家具製造販売会社に入社。
入社後インテリアコーディネーター資格、二級建築士資格を取得し、現在では「広島一敷居の低いインテリアコーディネーター」をキャッチコピーに、お客様の生活空間を豊かにするためのインテリアを提供している。
「元医療職をいかして、目の前の困っている人のニーズをしっかり拾って寄り添ったリフォームやアイテム選定など心がけています。」

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