【第4回】音の専門家の雑談「騒音ってどんな音?(子どもの声は騒音か)」~連綿と続く流れの中にいる自分~

  • お役立ち

住宅地や集合住宅で、トラブルになりがちな騒音問題。
音の専門家はこの問題をどう捉えているのでしょうか。音に特化したサービスを提供する株式会社Sound Oneの石田康二さん、楠美貴大さんが「騒音ってどんな音?(子どもの声は騒音か)」をテーマに、音と地域コミュニティの関係について掘り下げます。
 
当記事は、株式会社Sound Oneが配信するポッドキャスト『音の専門家の雑談』から抜粋、編集しています。全文は、ポッドキャストで軽快なトークとともにお楽しみください。
音の専門家の雑談 Presented by Sound One #95【騒音ってどんな音?(子供の声は騒音か)】

人物紹介

株式会社Sound One 取締役 石田康二
40数年間「音」を探求しています。研究、ビジネス、趣味の対象でもあり、人生の大半、音のことを考え、関わってきました。今は、GoogleやAIで、誰でもすぐに正解に辿りつける時代。
「知ること」より「感じる」こと、「はかること」より「はかないこと」を大切にしたいと思う今日この頃です。

石田
石田

株式会社Sound One セールスマーケティング チームリーダー 楠美貴大
音の回路設計やマイクの企画、開発、商品化設計に携わり、現在は、Sound OneサービスのセールスマーケティングやPodcastコンテンツの運営を担う。
好きなもの:歌、歴史(特に戦国時代)、パグ
好きな瞬間:考え方や概念が繋がって、自分の世界観が拡がるとき
人生のテーマ:「あらゆるシーンにユーモアを」

楠美
楠美

前回(第3回)「分かり合えなくても分かり合うための努力をすること」はこちら >>

連綿と続く流れの中にいる自分

楠美
楠美

僕の子どもが小さかった時に、ベビーカーで移動してたんですけど。
駅のホームから階段を下りて行くのって大変なんですよね。
妻がベビーカーを引いていて、僕は後ろを歩いてたんですけど、ある男の人が何も言わずにさっと、ベビーカーを持ち上げて階段を下りてくれたんですよ。

それ見て、「俺もこういうシーンがあったらそうしなきゃな」って思ったんですよね。
それも一つの循環というか。やってもらったら、次は自分が誰かにやって、また次に流すっていうか。

それは哲学の世界で贈与論っていうのがあるんだけど。
単に何か物をプレゼントするっていうことではなくて、まさに世代を繋いで、できる人が困っている人たちに贈与するっていう。
贈与という言葉がなんかピンとこないかもしれないけど。

石田
石田
楠美
楠美

贈与税の贈与に感じちゃいました(笑)

僕も楠美さんと同じような経験を海外で何度もしていて。
手を差し出してくれるんですよね、「Let me give you a hand」って。
それが当たり前になると、自分も自然に言えて自然に振る舞える、不思議と。
でも、日本に帰ってくるとなかなかそれができない。
文化というか、そういう環境にいると、自分もその中の一員みたいな形で、思考が変わったり、振る舞いが変わったりするっていうのはよくあるなと思うんだよね。
 
だから、内田樹さんの話のように※第3回参照、コミュニティにそういう文化が少しずつ醸成されていくと、誰もが挨拶するような(地域にもなれる)。

石田
石田
楠美
楠美

そうですね。

「ハンカチ効果」っていうんだけど、あるバスで一番先頭で降りた小学生ぐらいの子どもが運転手さんに「ありがとうございました」って降りて。

そうすると、その後を続く大人も、最初は気恥ずかしいんだけども「ありがとうございました」と降りていくっていう。

連鎖をするっていうことで、ハンカチの一つをつまんで釣り上げると、その周りもだんだんハンカチが上がっていくような。

石田
石田
楠美
楠美

つまんだ部分をピックアップすると、その周囲が裾野のように持ち上がって広がっていくイメージですね。

だから地域コミュニティも、そういうものが築けるんじゃないかっていう希望があるんだよ。

石田
石田
楠美
楠美

うん、確かに。

哲学者のカントは「不可解ななぞ」って言ってる。
自分が死んだ後の子どもたちが成長した世代が社会を作る、そういう時代も人間は生きているんだみたいな言い方をして。人間ってなんでそんなに不可解なんだろうって。

それが当たり前だったら、苦情まみれの社会にはならないとは思うんだけどさ。

石田
石田
楠美
楠美

そうですね、確かに。

先輩に敬意を表するっていうのも、そういったシーンに寄与するというか。
要は縦のつながりを重んじるってことですよね。

そういう縦のつながりに感謝するとか、想いを馳せるみたいなところって、確かに昔よりも今のほうがちょっとずつ薄くなっていってるのかもしれないですよね。

第5回では、騒音に対する国民性を紐解きながら、音や空間が人間関係や社会に与える影響について深く考えていきます。お楽しみに。
【第5回】「人との距離感が寛容さに影響する」はこちら>>

プロフィール

株式会社 Sound One

音・振動分野の電子計測機器や試験機の開発を行う株式会社小野測器のグループ会社。
音を聴いた印象を評価するWebアンケートサービス「Sound One」の開発、運営を行っています。

Sound One 公式サイト
https://soundone.jp/
 
【異音の問題をスピーディに解決】音のWebアプリケーション
https://sound-one.net/lp/abnormal-noise/

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE
  • Pinterest
  • クリップボードにコピー

    クリップボードにコピーしました

住宅・建築プレゼンテーションソフト

3Dデザイナーシリーズ

誰にでもすぐ使いこなせる操作性の3D建築デザインソフト。
業界や専門性に特化したラインナップで、設計からプレゼンテーションまで住宅・建築現場をサポートします。

関連サイト